【2026年版】社会保険料の仕訳はどうする?マイクロ法人の法定福利費・預り金の考え方と入力例

節税・経費
【2026年版】社会保険料の仕訳はどうする?マイクロ法人の法定福利費・預り金の考え方と入力例

📢 本記事にはプロモーション(広告・アフィリエイトリンク)が含まれます。

スポンサーリンク

「社会保険料の引き落とし、まるごと経費にしていいの?」
「法定福利費と預り金って、どう使い分けるの?」
「毎月の金額が同じなのに、いつも入力で迷ってしまう」

先に前提を整理します。この記事で言うマイクロ法人とは、個人事業を続けながら、役員が自分ひとりだけの小さな会社(多くは合同会社、株式会社でも可)を別に持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を抑える仕組みのことです。全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。

社会保険料の仕訳が難しく感じるのは、ひとつの引き落としの中に、性質の違うお金が混ざっているからです。私も最初は全額を経費にしてしまい、顧問税理士の先生から「半分は社長から預かったお金ですよ」と指摘されました。この記事では、その分け方を整理します。

  • 社会保険料が2種類のお金に分かれる理由
  • 法定福利費と預り金の使い分け
  • 預かってから納めるまでの流れ
  • 引き落とし額が合わないときの確認ポイント

社会保険料は2種類のお金が混ざっている

会社が納める社会保険料は、大きく次の2つに分かれます。金額としてはおおむね折半ですが、性質はまったく違います。

種類 誰の負担か 帳簿での扱い
会社負担分 会社 法定福利費(会社の費用)
本人負担分 社長個人 預り金(給与から預かったお金)
子ども・子育て拠出金 会社(全額) 法定福利費(会社の費用)

つまり、口座から引き落とされる金額のうち会社の費用になるのは会社負担分だけで、本人負担分は「社長から預かっていたお金を代わりに納めている」にすぎません。ここを分けずに全額を法定福利費にすると、費用が過大になります。

なお、子ども・子育て拠出金は厚生年金の保険料と一緒に請求されますが、本人負担はなく全額が会社負担という点が特徴です。金額は小さいものの、内訳を見るときに知っておくと迷いません。自分の会社の保険料がいくらになるかはマイクロ法人の社会保険料はいくら?で整理しています。

法定福利費と預り金の使い分け

この2つの科目は、次のように覚えると混乱しません。

  • 法定福利費=会社が自腹で負担する社会保険料。損益計算書に出る費用
  • 預り金=社長の給与から差し引いて、会社が一時的に預かっているお金。いずれ出ていく負債

預り金は、役員報酬から源泉所得税を差し引いたときにも使う科目です。ひとつの預り金でまとめて管理してもよいのですが、社会保険料と源泉所得税は納付先も納付時期も違うため、補助科目で分けておくと残高の確認がしやすくなります。役員報酬側の仕訳は役員報酬の仕訳はどう入力する?で扱っています。

預かってから納めるまでの流れ

社会保険料の処理は、月をまたいで2つの動きになります。ここを図式として持っておくと、毎月の入力が一気にラクになります。

ステップ1:給与を支給するときに預かる

役員報酬を支給するとき、額面から本人負担分を差し引きます。このとき差し引いた金額が預り金として会社に残ります。会社の口座からは、差し引いたあとの手取り額だけが出ていきます。

ステップ2:翌月に納付する

社会保険料は、原則として翌月末に会社の口座から引き落とされる形で納めます。このとき引き落とされる金額は、会社負担分と本人負担分の合計です。仕訳では、次のように分けます。

内訳 処理
会社負担分 法定福利費として費用に計上
本人負担分 預り金を取り崩す(費用にしない)
合計 普通預金の減少

この「預かる→納める」の往復が正しく回っていれば、預り金の残高は納付のたびにきれいに戻ります。納付そのものの実務や、納入告知書・口座振替の話はマイクロ法人の社会保険料はいつ・どうやって払う?で解説しています。

引き落とし額が合わないときの確認ポイント

毎月同じ金額のはずなのに、引き落とし額が想定と違うことがあります。慌てて調整仕訳を入れる前に、次を確認してください。

  • 保険料率が変わっていないか:年度替わりに改定されることがある
  • 標準報酬月額が変わっていないか:算定基礎届や月額変更届の反映後は金額が動く
  • 子ども・子育て拠出金が含まれているか:厚生年金と一緒に請求される
  • 端数処理のずれ:預かった額と納付額が1円単位で合わないことがある

とくに毎年の算定基礎届のあとは、標準報酬月額が変わって保険料も動きます。この時期は「去年と同じ」と思い込まず、通知書の金額を確認してから入力するのが安全です。手続きの時期の全体像は算定基礎届・月額変更届の書き方マイクロ法人設立後の年間スケジュールで確認できます。

1円のずれは無理に合わせない

本人負担分の端数処理の関係で、預かった金額と実際に納める金額が数円ずれることがあります。この差額は、そのまま法定福利費などで調整するのが実務上の一般的な扱いです。1円を合わせるために毎月悩むより、差額の処理方法を決めて固定してしまうほうが、経理は続けやすくなります。処理の仕方に迷う場合は顧問税理士に確認して、以後は同じやり方を続けてください。

預り金の残高で自己点検する

社会保険料の処理が正しいかどうかは、預り金の残高で確認できます。給与支給で増え、納付で減る。この動きを繰り返していれば正常です。

もし預り金が毎月積み上がっていくなら、納付時に預り金を取り崩さず、全額を法定福利費にしてしまっている可能性があります。逆に預り金がマイナスになっているなら、支給時に預かる処理が抜けています。私は月末に残高を眺めるだけの確認をしていますが、これで入力の型崩れにすぐ気づけます。月次の点検の型はマイクロ法人の毎月の経理ルーティンにまとめています。

金額が動く「例外の月」を知っておく

マイクロ法人の社会保険料は毎月ほぼ一定ですが、年に何度か金額が動くタイミングがあります。ここを知らないと「入力を間違えたのでは」と不安になるので、先に押さえておきましょう。

タイミング 何が起きるか
年度替わり 健康保険の料率などが改定されることがある
算定基礎届のあと 標準報酬月額が見直され、秋以降の保険料が変わる
報酬額を変更したとき 月額変更届の対象になると、保険料が変わる
産前産後・育児期間 要件を満たすと保険料の免除を受けられる場合がある

とくに保険料の免除を受けた月は、会社負担分も本人負担分も発生しないため、いつもの仕訳をそのまま流用すると誤りになります。免除の要件や手続きは一人社長でも産休・育休の社会保険料免除は使える?で扱っています。金額が動いた月は、通知書の内訳を見てから入力する習慣をつけてください。

決算のときに見られる場所

社会保険料まわりの処理は、決算の場面でも確認の対象になります。とくに次の2点は、数字が不自然だと理由を聞かれやすいところです。

  • 預り金の期末残高:本来は「まだ納めていない1か月分」程度に落ち着くのが自然
  • 法定福利費と役員報酬のバランス:報酬額に対して保険料が不自然に大きい・小さいと説明が必要になる

預り金が何か月分も積み上がっている場合、納付漏れか処理漏れのどちらかです。決算前ではなく毎月の段階で残高を見ておくことが、結局いちばん早い対処になります。決算そのものの進め方は法人の決算・申告は自分でできる?を参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 引き落とされた社会保険料を全額まとめて経費にしてはいけませんか?

A. 会社の費用になるのは会社負担分と子ども・子育て拠出金です。本人負担分は社長から預かったお金を納めているだけなので、費用ではなく預り金の取り崩しとして処理します。全額を費用にすると費用が過大になります。

Q. 預り金は源泉所得税と一緒にしてもいいですか?

A. 同じ預り金として扱うこともできますが、納付先も時期も違うため、補助科目などで分けたほうが残高の確認がしやすくなります。どちらにするかは、自分が管理しやすい形で統一してください。

Q. 子ども・子育て拠出金は社長からも預かるのですか?

A. 子ども・子育て拠出金は全額が会社負担で、本人からは預かりません。厚生年金保険料と一緒に請求されるため、内訳を見て会社負担として処理します。

Q. 保険料が免除された月はどう入力しますか?

A. 免除を受けた月は会社負担分も本人負担分も発生しないため、いつもの仕訳をそのまま使うと誤りになります。給与から預かる処理も行わないことになるので、通知の内容を確認してから入力してください。

Q. 預かった額と納付額が数円ずれます。どうすれば?

A. 端数処理の関係でずれることがあります。差額の処理方法をあらかじめ決めて、毎月同じやり方で統一するのが現実的です。処理方法は顧問税理士に確認しておくと安心です。

💡 毎月の社会保険料の仕訳を型にしたいなら(PR)

会社負担分と預り金の分け方は、一度パターンを作ってしまえば毎月そのまま使えます。取引が少ないマイクロ法人ほど、決まった形を登録しておく効果が大きい部分です。

まとめ:会社負担は費用、本人負担は預り金

この記事の要点を整理します。

  • 引き落とし額には会社負担分と本人負担分が混ざっている
  • 会社負担分と子ども・子育て拠出金は法定福利費(費用)
  • 本人負担分は預り金の取り崩し。費用にはしない
  • 給与支給で預かり、翌月の納付で取り崩すという往復で考える
  • 預り金の残高を見れば、処理が崩れていないか自己点検できる

社会保険料の仕訳は、性質の違うお金が1回の引き落としに同居しているだけで、分けて考えれば難しくありません。マイクロ法人は毎月ほぼ同じ金額が続くので、最初に型を決めてしまえば、あとは繰り返すだけになります。

※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。

スポンサーリンク

スポンサーリンク