【2026年版】算定基礎届・月額変更届の書き方|マイクロ法人社長の7月の社会保険手続きガイド
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「年金事務所から『算定基礎届』という書類が届いたけど、これ何?」
「役員一人の会社でも毎年出さないといけないの?」
「期中に役員報酬を変えたら『月額変更届』も要るって聞いたけど、違いがわからない…」
毎年6月中旬〜7月頭、マイクロ法人の社長のもとには年金事務所から算定基礎届の用紙が届きます。ここで言うマイクロ法人とは、個人事業主が役員一人だけの小さな会社(合同会社が多数派、株式会社でも可)を別に設立し、役員報酬を低めに固定することで社会保険料をぐっと抑える「マイクロ法人スキーム」の土台になる法人のことです。スキーム自体の仕組みと損得はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。
算定基礎届は、このスキームの核心である「標準報酬月額」を毎年確定させる手続きです。つまりマイクロ法人社長にとっては、保険料の安さを制度上オフィシャルに確定させる大事な年中行事。役員報酬が固定額のマイクロ法人なら記入は驚くほど簡単なので、この記事を見ながら10分で終わらせましょう。
この記事では、現役のマイクロ法人社長として、また顧問税理士の先生から教わった内容をベースに、
- 算定基礎届(定時決定)の仕組みと提出期限
- マイクロ法人社長向けの記入ステップと報酬に含む・含まないの整理
- 提出方法3ルート(e-Gov電子申請・郵送・窓口)
- 月額変更届(随時改定)が必要になる条件と算定基礎届との違い
- 提出しないとどうなるか、よくある疑問への回答
を順番に解説します。
算定基礎届(定時決定)とは:毎年7/1〜7/10の年中行事
算定基礎届は、正式には「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」。毎年7月1日〜7月10日に提出し、4月・5月・6月に支払った報酬の平均額から標準報酬月額を決め直す手続きです(これを「定時決定」と呼びます)。
| 項目 | 内容 |
| 提出期限 | 毎年7月1日〜7月10日 |
| 判定対象 | 4月・5月・6月に「支払った」報酬の平均 |
| 決まるもの | 標準報酬月額(健康保険・厚生年金の保険料の基礎) |
| 適用期間 | その年の9月から翌年8月まで |
| 用紙の到着 | 6月中旬〜7月頭に年金事務所から郵送 |
ここで決まった標準報酬月額が、9月分から翌年8月分までの1年間の保険料を左右します。マイクロ法人スキームの節約効果はこの標準報酬月額の低さで成り立っているので、「保険料の等級を毎年更新する手続き」と理解しておけばOKです。設立直後の社会保険加入手続きの全体像はマイクロ法人設立後の社会保険切り替え手続きで解説しています。
マイクロ法人社長の記入ステップ:固定報酬なら10分で終わる
マイクロ法人は役員報酬が毎月同額(定期同額給与)なので、記入は次のステップだけです。
ステップ① 印字内容の確認
郵送されてくる用紙には、被保険者の氏名・生年月日・現在の標準報酬月額などが印字済みのことがほとんどです。まず印字内容に誤りがないかを確認します。
ステップ② 4・5・6月の支払額を記入
各月の「報酬月額(通貨によるものの額)」欄に、その月に実際に支払った役員報酬の額を記入します。支払基礎日数の欄は、月給制なら暦日数(30日・31日など)を記入するのが基本です。役員の場合、支払基礎日数の考え方は給与計算の対象期間の暦日数で書くのが一般的とされますが、迷ったら年金事務所に確認してください。
ステップ③ 平均額(総計÷3)を算出して記入
3か月の合計を「総計」欄に、3で割った額を「平均額」欄に記入します。毎月45,000円なら総計135,000円・平均45,000円。固定報酬なら計算に迷う余地はありません。
報酬に「含むもの・含まないもの」
- 含む:役員報酬(基本部分)、通勤手当、現物支給(社宅の供与など、一定の評価額)
- 含まない:出張旅費などの実費弁償、年3回以下の賞与(こちらは賞与支払届で別途届出)
マイクロ法人で通勤手当や社宅を絡めている場合は「含む」側に入る点だけ注意してください。そもそも役員報酬をいくらに設定するのが得かは役員報酬はいくらが最適かで詳しく解説しています。
提出方法は3ルート:e-Gov・郵送・窓口
- 電子申請(e-Gov):GビズIDがあればオンラインで完結。控えも電子で残り、往復の手間ゼロ。毎年出すものなので、一度設定すれば翌年以降が最速です
- 郵送:同封の返信用封筒(または管轄の事務センター宛)で返送。控えが必要なら控え用のコピーと返信用封筒を同封
- 窓口:管轄の年金事務所へ持参。記入に不安があれば、その場で確認してもらえるのが利点
私は初年度だけ窓口で書き方を確認し、2年目からは郵送で済ませています。顧問税理士の先生からは「マイクロ法人の算定基礎届で書類が差し戻されることはまずない。むしろ怖いのは出し忘れだけ」と言われました。
月額変更届(随時改定):役員報酬を変えたときの手続き
算定基礎届が「毎年の定期便」なのに対し、月額変更届は期中に報酬を変えたときの臨時便です。次の3条件をすべて満たすと、随時改定の対象になります。
- ① 固定的賃金(役員報酬など)に変動があった
- ② 変動月からの3か月間の報酬平均が、従来の標準報酬月額と2等級以上の差
- ③ その3か月とも支払基礎日数が17日以上
3条件を満たすと、変動月から数えて4か月目に標準報酬月額が改定されます。たとえば期首の4月に役員報酬を変更して2等級以上動くなら、4・5・6月の実績で7月から新しい等級になる、というイメージです。
定期同額給与との関係:報酬改定は「期首3か月以内」→社保は「4か月目改定」
役員報酬は法人税法上「定期同額給与」である必要があり、増減できるのは原則期首から3か月以内です。つまりマイクロ法人の実務では、
- 期首3か月以内に役員報酬を改定(税務側のルール)
- 2等級以上動いたら月額変更届を提出し、変動月から4か月目に等級改定(社会保険側のルール)
- 2等級未満の変動なら随時改定はなく、次の算定基礎届(定時決定)で反映
という二本立てで動きます。「税務のカレンダー」と「社会保険のカレンダー」が別々に走っているとイメージすると整理しやすいです。年間の手続き全体はマイクロ法人設立後の年間スケジュール完全カレンダーにまとめています。
提出しないとどうなる?&対象外になるケース
算定基礎届を出し忘れると、まず年金事務所から催告状(提出のお願い)が届きます。それでも放置すると、事務所調査(呼び出しや立入り)の対象になり得ます。悪質と判断されれば標準報酬月額を職権で決定されることもあるため、「たかが紙1枚」と侮らず期限内に出しましょう。マイクロ法人は社会保険の適正な加入がスキームの土台なので、ここで不誠実な対応をするメリットは一つもありません。
一方で、役員報酬がゼロ(無報酬)の場合は、そもそも社会保険の被保険者になっていないため、算定基礎届の対象外です。この場合は国保・国民年金側での手当てが必要になり、スキームとしては別の設計になります。無報酬期間がある場合の扱いは、自己判断せず年金事務所に確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 賞与を出した場合はどうすればいいですか?
A. 年3回以下の賞与は算定基礎届の報酬には含めず、支給から5日以内に「賞与支払届」を提出します。賞与にも標準賞与額として保険料がかかります。なお役員賞与を損金にするには事前確定届出給与の届出という税務側の手続きも別途必要です。
Q. 4〜6月に報酬ゼロの月がある場合はどう書きますか?
A. 支払いのなかった月は支払基礎日数の関係で平均の計算から除外される扱いがあり、記入方法に特殊なルールがあります(3か月とも支払いがない場合は従前の標準報酬月額で決定されるなど)。該当する場合は用紙の記入説明書を確認のうえ、年金事務所に問い合わせるのが確実です。
Q. 個人事業の収入が増えた場合、算定基礎届に影響しますか?
A. 影響しません。標準報酬月額の判定は法人から受け取る報酬のみで行われ、個人事業の所得は無関係です。この「個人事業でいくら稼いでも社会保険料が上がらない」構造こそがマイクロ法人スキームの核心部分です。
Q. 提出後、保険料はいつから変わりますか?
A. 定時決定で決まった標準報酬月額は9月分の保険料から適用されます。保険料の納付(引き落とし)は翌月なので、実際の支払額が変わるのは10月末の納付分からになるのが一般的です。
Q. 電子申請にしたいのですが、何が必要ですか?
A. e-Govからの申請にはGビズID(gBizIDプライム)のアカウントが使えます。取得は無料ですが、審査に数日〜2週間程度かかるため、7月の提出に間に合わせたいなら6月中の取得申請がおすすめです。
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まとめ:算定基礎届は「保険料の安さを毎年確定させる」大事な10分仕事
7月の社会保険手続きのポイントを振り返ります。
- 算定基礎届は毎年7/1〜7/10提出。4〜6月の報酬平均で標準報酬月額が決まり、9月から翌年8月まで適用
- マイクロ法人は固定報酬なので記入は3ステップ・10分。通勤手当・社宅は報酬に含む点だけ注意
- 提出はe-Gov・郵送・窓口の3ルート。毎年のことなのでGビズIDでの電子申請が最終的には楽
- 期中に報酬を変えて2等級以上動いたら月額変更届(随時改定)。変動月から4か月目に改定される
- 出し忘れは催告→事務所調査につながり得る。役員報酬ゼロなら被保険者でないため対象外
算定基礎届は、マイクロ法人スキームの心臓部である「低い標準報酬月額」を毎年オフィシャルに確定させる手続きです。仕組みさえわかれば10分の作業なので、7月の頭に予定として固定してしまいましょう。
※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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