【2026年版】開業して人を雇うことになったら|一人でなくなる日の手続きと考えどころ
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「仕事が回らなくなってきた。そろそろ人を雇うべき?」
「雇うと、どんな手続きが必要になるの?」
「給与以外に、どんなお金がかかるんだろう」
先に前提を共有します。このサイトが扱うマイクロ法人スキームとは、個人事業を続けながら、それとは別に役員が自分ひとりだけの小さな会社を持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を抑える仕組みです。全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。なお、法人側で人を雇う場合の話はマイクロ法人で従業員を雇うとどうなる?で扱っているので、この記事は個人事業主が初めて人を雇う場面に絞ります。
人を雇うのは、事業が育った証拠です。同時に、「一人でなくなる日」は事務も責任も一段増える日でもあります。この記事では次の4点を扱います。
- 雇う前に検討したい「外注・業務委託」という選択肢
- 雇うと発生する手続きの全体像(名称レベル)
- 給与計算という新しい仕事が増えること
- 費用は給与だけではないという現実
雇う前に:外注・業務委託で足りないか
最初に検討したいのは、そもそも雇用が必要か、という手前の問いです。仕事が回らない状態の解決策は雇用だけではなく、業務の一部を外注(業務委託)に出すという道があります。
| 外注・業務委託 | 雇用 | |
| 向く仕事 | 切り出せる単発・専門業務(デザイン、経理代行など) | 継続的で、指示しながら進めてほしい業務 |
| 手続き | 契約と支払いが中心で比較的軽い | 労働保険・源泉徴収など一式が発生 |
| 費用の形 | 成果や稼働に応じた報酬 | 給与+保険料などの付随費用が毎月固定的に |
| やめやすさ | 契約の区切りで見直せる | 雇用の解消には法律上の制約がある |
切り出せる業務が明確なら、まず外注で試すのが低リスクです。ただし注意がひとつあります。形式は業務委託でも、実態が「指揮命令を受けて働く労働者」と変わらない場合、いわゆる偽装請負として問題になることがあります。時間や場所を拘束して細かく指示を出したいなら、それは雇用で行うべき働き方です。契約の名前ではなく実態で判断される、という点だけは覚えておいてください。
雇うと発生する手続きの全体像
雇用を選んだ場合に発生する手続きを、名称レベルで並べます。それぞれに提出先や期限の定めがあるため、詳細は必ず公的な窓口や専門家で確認してください。ここでは「こういう種類のものがある」という地図だけ持ち帰ってもらえれば十分です。
- 労働条件の明示:賃金・労働時間・仕事の内容などを、書面等で本人に明示することが求められます
- 労働保険(労災保険・雇用保険):人を雇ったら労災保険の手続きが必要になり、働き方の条件によって雇用保険の加入も発生します。窓口は労働基準監督署・ハローワークです
- 源泉徴収まわり:給与を支払う事業者になったことを税務署に届け出て、毎月の給与から所得税を天引きして納める立場になります
- 社会保険(健康保険・厚生年金):個人事業の場合、業種や人数によって加入義務の有無が変わります。該当するかどうかの確認先は年金事務所です
ちなみに、事業主であるあなた自身の健康保険や年金は、従業員とは別の制度で動いています。自分自身の社会保険の整理は会社を辞めて開業する人の社会保険で扱っています。
「給与計算」という新しい仕事が増える
手続きは最初の一回で終わりますが、雇った後は毎月の給与計算という新しい定常業務が発生します。単に約束した額を振り込むだけではなく、勤怠を集計し、天引きすべきものを計算し、差し引いた分を期限までに納める、という流れが毎月続きます。
- 勤怠の集計:働いた時間・休んだ日を記録し集計する仕組みが必要になります
- 天引きの計算:所得税や保険料など、給与から差し引く項目の計算
- 納付と書類:預かった税金等の納付、給与明細の交付、年末の精算事務
一人で事業をしていた頃の経理に、まるごと一つ業務が追加されるイメージです。給与計算ソフトの利用や、専門家への外注も含めて「誰がやるか」を雇う前に決めておくことをおすすめします。自分の経理をため込まない仕組みづくりはマイクロ法人の毎月の経理ルーティンの考え方が個人事業でもそのまま使えます。
費用は給与だけではない
雇用のコストを「月給×12か月」で見積もると、確実に足りなくなります。給与のほかに、次のような費用が付いてきます。
- 保険料の事業主負担:労働保険や社会保険には、事業主が負担する分があります。給与に上乗せでかかる固定費です
- 採用と教育のコスト:募集にかかる費用、仕事を教える間のあなたの時間
- 環境の整備:机・パソコン・ソフトのアカウントなど、一人分の仕事環境
私も開業当初、繁忙期に「人さえいれば」と何度も思いましたが、冷静に費用を並べてみると、まず外注と仕組み化で乗り切るのが正解だった時期がありました。「毎月の固定費が一段増えても資金繰りが回るか」を、雇う前に数か月分シミュレーションしてみてください。
迷ったら専門家と公的窓口を頼る
雇用まわりの手続きは、労働・税務・社会保険と複数の分野にまたがります。全部を自力で正確にやろうとするより、最初の一人を雇うタイミングで一度専門家に相談し、手続きの全体像を自分の事業に当てはめてもらうのが結局いちばん安上がりだった、という声は多く聞きます。
- 労働保険・雇用契約まわり:社会保険労務士、労働基準監督署・ハローワークの窓口
- 源泉徴収・給与の税務:税理士、税務署
- どこに相談すべきか迷う場合:マイクロ法人の相談はどこにすべき?で相談先の使い分けを整理しています
手続きの名前を知っていれば、窓口での相談は驚くほどスムーズに進みます。この記事の地図を持って、詳細は確認しながら進めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 人を雇うか外注にするか、どう判断すればいいですか?
A. 切り出せる単発・専門業務なら外注、継続的に指示しながら進めてほしい業務なら雇用、が基本の考え方です。まず外注で試して、業務量が安定して多いと確認できてから雇用を検討する順番が低リスクとされています。
Q. 業務委託なら手続きは何もいらないのですか?
A. 雇用に比べれば軽いものの、契約書の取り交わしや、報酬の種類によっては源泉徴収が必要な場合があります。また、実態が労働者と変わらない働かせ方は偽装請負として問題になり得るため、指揮命令の度合いには注意が必要です。
Q. アルバイト1人でも労働保険は必要ですか?
A. 人を雇ったら労災保険の手続きは原則必要になり、働く時間などの条件によって雇用保険も発生するとされています。短時間のアルバイトでも例外ではないため、雇う前に労働基準監督署やハローワークで確認してください。
Q. 給与計算は自分でできますか?
A. 給与計算ソフトを使えば不可能ではありませんが、天引きや納付には期限と正確さが求められます。本業を圧迫するようなら、社会保険労務士や税理士への外注も含めて「誰がやるか」を先に決めておくのがおすすめです。
Q. 雇用のコストはどれくらい見ておくべきですか?
A. 給与に加えて、保険料の事業主負担・採用と教育の手間・仕事環境の整備費がかかります。具体額は条件で変わるため、雇う前に数か月分の資金繰りに載せて、固定費が一段増えても回るかを確認してください。
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まとめ:地図を持って、詳細は窓口で確認する
この記事の要点を整理します。
- 雇用の前に、外注・業務委託で足りないかをまず検討する
- 業務委託は実態で判断される。指揮命令したいなら雇用で
- 雇うと労働条件の明示・労働保険・源泉徴収などの手続きが発生する
- 毎月の給与計算という新しい定常業務を「誰がやるか」を先に決める
- 費用は給与だけでなく、保険料の事業主負担などが上乗せされる
一人でなくなる日は、事業にとって大きな節目です。手続きの多さに気後れするかもしれませんが、種類の名前さえ知っていれば、あとは窓口と専門家が導いてくれます。焦らず、外注という選択肢も含めて、あなたの事業に合った形を選んでください。
※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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