【2026年版】マイクロ法人はいくら安くなる?年収別シミュレーション早見表(300万・500万・800万・1000万)
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「マイクロ法人って、結局いくら安くなるの?」
「自分の年収だと効果があるのか、数字で知りたい」
「維持費を引いたら、実は大して得じゃないのでは?」
この疑問に、年収別の早見表で答えるのが本記事です。先に前提をそろえておくと、ここで言うマイクロ法人とは、個人事業主が本業とは別に役員一人だけの会社(多くは合同会社、株式会社でも構いません)を立ち上げ、役員報酬をあえて最小限に設定することで、社会保険料の負担をぐっと軽くする「マイクロ法人スキーム」の受け皿になる法人のことを指します。仕組みの全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説にまとめているので、初めての方はそちらから読むのがおすすめです。
私自身も現役のマイクロ法人社長で、設立前に一番知りたかったのがまさに「で、いくら安くなるの?」でした。この記事では、事業所得300万・500万・800万・1000万円の4パターンで年間負担を比較します。この記事でわかることは次のとおりです。
- 国保+国民年金のままの場合の年間負担の目安(年収別)
- マイクロ法人で協会けんぽ最低等級にした場合の年間負担の目安
- 維持費を差し引いた「純効果」の早見表
- 所得が高いほど効果が大きくなる理由
- シミュレーションを自分の条件に引き直すときの注意点
まず前提条件をそろえる(ここを読み飛ばさないでください)
社会保険料や国保料は、年齢・家族構成・お住まいの自治体でかなり変わります。この記事の数字は、次の前提での2026年時点の一般的な目安です。
- 40歳未満・単身(介護保険料の上乗せなし、扶養家族なし)
- 国保料は全国的に見て中間的な水準の自治体を想定した概算
- マイクロ法人側は協会けんぽで、役員報酬を最低等級近辺に設定
- 金額はすべて「約」「〜台」の目安。1円単位の正確さは狙っていません
ご自身の正確な金額は、自治体の国保料計算ページや年金事務所・協会けんぽの資料で必ず確認してください。ここでは「桁感と傾向」をつかむのが目的です。
パターンA:個人事業主のまま(国保+国民年金)の年間負担
個人事業主が公的保険としてそのまま払うのは、国民健康保険料と国民年金保険料の2つです。
国民年金は所得に関係なく定額で、2026年時点の目安で年間およそ21万円前後。一方、国民健康保険料は所得に比例して増える所得割が中心のため、稼ぐほど重くなります。所得が高い層では賦課限度額(保険料の上限)に達しますが、その上限自体が近年ほぼ毎年引き上げられており、本記事の前提(40歳未満・介護分なし)では令和7年度で約92万円の水準にあります。国保の重さについては国民健康保険が高すぎると感じたら読む記事でも詳しく書いています。
| 事業所得 | 国保料(目安) | 国民年金(目安) | 年間合計(目安) |
| 300万円 | 約30万円台 | 約21万円 | 約50万円台 |
| 500万円 | 約50万円台 | 約21万円 | 約70万円台 |
| 800万円 | 約80万円台〜限度額付近 | 約21万円 | 約100万円前後 |
| 1000万円 | 約92万円(賦課限度額) | 約21万円 | 約110万円台 |
パターンB:マイクロ法人で協会けんぽ最低等級にした場合
マイクロ法人を作って役員報酬を最低等級近辺(月5〜6万円程度)に設定すると、健康保険と厚生年金の保険料は役員報酬の額に応じて決まるため、所得がいくら大きくても法人側の保険料は増えません。ここがこのスキームの核心です。役員報酬額の決め方は役員報酬はいくらが最適かで深掘りしています。
最低等級近辺での年間保険料は、会社負担分と本人負担分を合わせて(どちらも実質的に自分の財布です)、2026年時点の目安で健康保険が年7万円前後、厚生年金が年19万円前後、合計で年27万円前後のイメージです。さらに法人を維持するためのコストとして、赤字でもかかる法人住民税の均等割が年7万円程度あります。自分で決算申告をする前提なら、負担の合計は年35万円前後が一つの目安になります。維持費の内訳は合同会社の維持費をご覧ください。
重要なのは、この約35万円という数字が事業所得300万円でも1000万円でもほぼ変わらないという点です。
早見表:維持費込みの「純効果」はいくらか
パターンAとパターンBの差額から、年収別の純効果(維持費差引後)を一覧にします。
| 事業所得 | A:国保+国民年金 | B:マイクロ法人(維持費込み) | 純効果の目安 |
| 300万円 | 約50万円台 | 約35万円前後 | 年10万円台 |
| 500万円 | 約70万円台 | 約35万円前後 | 年30万円台 |
| 800万円 | 約100万円前後 | 約35万円前後 | 年60万円台 |
| 1000万円 | 約110万円台 | 約35万円前後 | 年70万円台後半 |
表からわかる傾向は明快です。国保料は所得に比例して増えるのに、マイクロ法人側の負担はほぼ定額。だから所得が高いほど差が開き、効果が大きくなります。逆に所得300万円クラスでは、効果は年10万円台にとどまり、後述する事務負担と釣り合うかは人によります。
私の場合は、顧問税理士の先生と設立前にこの表とほぼ同じ計算をして、「あなたの所得ならやる価値がありますね」と背中を押してもらった経緯があります。数字を出してから決める、という順番はぜひ真似してほしいところです。
表の読み方:事業所得500万円の例で確認
使い方を一つ例示します。事業所得500万円の方なら、現状の負担は国保約50万円台+国民年金約21万円で年70万円台。マイクロ法人に切り替えると、社会保険料約27万円+均等割約7万円で年35万円前後に置き換わり、差額の年30万円台が純効果の目安になります。月に直せば2〜3万円、10年続ければ300万円規模の違いです。ただし繰り返しになりますが、この数字は単身・40歳未満・中間的な自治体という前提での概算です。ご自身の条件では、お住まいの自治体の料率と、協会けんぽの都道府県別料率表を使って引き直してください。
シミュレーションを自分用に引き直すときの注意点5つ
① 家族構成で効果が大きく変わる
今回は単身前提ですが、配偶者や子どもを協会けんぽの扶養に入れられる場合、家族分の国保料が丸ごと不要になるため、効果はさらに大きくなる傾向があります。逆に配偶者の勤務先の扶養に入っている方は前提が変わります。詳しくは配偶者の扶養はどうなるかを参照してください。
② 40歳以上は介護保険料が上乗せされる
40〜64歳は国保にも協会けんぽにも介護保険料分が上乗せされます。比較の構図は変わりませんが、金額は両側とも少し増えます。
③ 自治体によって国保料は大きく違う
同じ所得でも、自治体によって国保料は年間で数万円〜十数万円レベルの差が出ることがあります。必ずお住まいの自治体の料率で計算し直してください。
④ 法人側には売上のある事業が必要
マイクロ法人はペーパーカンパニーではなく、実体のある事業と売上が前提です。維持費や保険料を法人の売上でまかなえるかは売上は最低いくら必要かで試算しています。
⑤ 数字以外のコストも忘れずに
早見表に載らないコストとして、決算・申告や社会保険手続きの事務負担、そして役員報酬が低くなることによる住宅ローンなど審査面への影響があります。純効果が年10万円台の方にとっては、この「見えないコスト」が損益を逆転させることもあります。効果の金額だけでなく、ご自身の生活設計との相性まで含めて判断するのが、後悔しないコツです。
よくある質問(FAQ)
Q. 事業所得300万円未満でも作る意味はありますか?
A. 純効果が年10万円を切ってくると、決算や社保手続きの手間を考えて見送る判断も十分合理的です。ただし家族を扶養に入れられる場合や、今後所得が伸びる見込みがある場合は結論が変わることもあるので、世帯単位で試算してみてください。
Q. この表の数字はそのまま信じていいですか?
A. 桁感と傾向をつかむ目安としては使えますが、そのまま意思決定に使うのは避けてください。国保料は自治体・年齢・所得の内訳で変わりますし、保険料率も年度ごとに改定されます。最終判断の前に、自治体の試算ツールや税理士への相談で自分の数字を出すことをおすすめします。
Q. 所得税や住民税も安くなるのですか?
A. この記事で試算したのは社会保険料の差です。税金については、法人と個人に所得が分かれることによる影響や給与所得控除の効果などがありますが、逆に法人維持のコストもあるため、一概に「税金も安くなる」とは言えません。社会保険料の削減が主目的、と捉えるのが実態に近いです。
Q. 役員報酬を最低等級にして、生活費はどうするのですか?
A. 生活費は個人事業(本業)の所得から出すのが基本形です。マイクロ法人スキームは個人事業と法人の「二刀流」が前提で、法人の役員報酬は社会保険に加入するための最小限の額に抑えます。この構造は完全解説記事で図解しています。
Q. 将来の年金が減るのが心配です。
A. 最低等級で払い続けると、厚生年金の上乗せ部分も最低水準で積み上がります。それでも国民年金だけの場合との比較では上乗せがある分有利になり得ますが、削減できたお金の一部をiDeCoなどに回して自分で備えるのが現実的な設計です。
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まとめ:効果は「所得に比例」、まず自分の数字を出そう
この記事の要点を整理します。
- 国保+国民年金の負担は所得に比例して増え、事業所得1000万円では年110万円台が目安
- マイクロ法人側の負担は維持費込みで年35万円前後とほぼ定額
- 純効果の目安は、所得300万円で年10万円台、500万円で30万円台、800万円で60万円台、1000万円で70万円台後半
- 家族構成・年齢・自治体で数字は大きく動くため、必ず自分の条件で引き直す
- 効果が小さい所得帯では、事務負担との釣り合いで見送る判断もあり
「いくら安くなるか」は、マイクロ法人を検討する上でいちばん最初に押さえるべき数字です。この早見表で桁感をつかんだら、次は自治体の国保料計算とあわせて自分の数字を出し、それでも迷うなら税理士に相談してみてください。数字が出れば、判断は思ったよりシンプルになります。
※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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