【2026年版】マイクロ法人の売上はどう記帳する?請求書の発行から入金の消し込みまで
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「入金があったときに売上を入力すればいいの?」
「請求額と入金額が違うんだけど、どう処理するの?」
「決算をまたぐ売上って、どっちの期に入れるの?」
先に前提を整理します。この記事で言うマイクロ法人とは、個人事業を続けながら、役員が自分ひとりだけの小さな会社(多くは合同会社、株式会社でも可)を別に持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を抑える仕組みのことです。全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。
マイクロ法人の売上は件数こそ少ないものの、請求額と入金額がぴったり一致しないことが多く、そこで手が止まりがちです。私も最初、振込手数料が引かれた金額をそのまま売上にしてしまい、顧問税理士の先生に直された経験があります。この記事では、その考え方を整理します。
- 売上はいつの時点で立てるのか
- 売掛金と入金の消し込みの流れ
- 手数料や源泉徴収が引かれて入金されたときの処理
- 期末をまたぐ売上をどちらの期に入れるか
売上は「入金したとき」ではなく「請求したとき」
まず押さえたいのが、売上を計上するタイミングです。会計では、お金を受け取った時点ではなく、商品やサービスを提供して代金を請求できる状態になった時点で売上を立てるのが基本的な考え方です。
| タイミング | やること |
| 納品・役務提供が完了し、請求した | 売上高を計上し、相手には「売掛金」を立てる |
| 入金があった | 売掛金を消し込み、預金の増加として処理する |
つまり売上まわりの処理も、「請求したとき」と「入金されたとき」の2回に分かれます。役員報酬が「支給時」と「納付時」に分かれるのと同じ構造だと考えると、頭に入りやすいはずです。役員報酬側の型は役員報酬の仕訳はどう入力する?で扱っています。
入金時にまとめて処理してはいけないのか
取引が少なく、請求から入金までが同じ月に収まるなら、実務上は入金時にまとめて処理しても結果が変わらない場面もあります。ただし、月をまたぐ取引や、決算をまたぐ取引では結果が変わります。あとから型を変えるほうが大変なので、最初から請求時に立てる形にしておくのがおすすめです。
売掛金の消し込みという考え方
「消し込み」とは、請求時に立てた売掛金を、入金があった時点で減らしていく作業のことです。これがきちんと回っていると、売掛金の残高=まだ入金されていない請求額という状態が保たれます。
この残高を見れば、入金漏れや請求漏れにすぐ気づけます。私は月末に売掛金の残高を確認し、「これは今月末入金予定のあの案件」と説明できるかどうかを見るようにしています。説明できない残高が残っていたら、どこかで処理が抜けているサインです。月次の点検の型はマイクロ法人の毎月の経理ルーティンにまとめています。
請求額と入金額が違うときの処理
一人社長がいちばん迷うのがここです。請求書には10万円と書いたのに、実際の入金は10万円より少ない、という状況はよく起こります。理由は主に2つです。
振込手数料が差し引かれている場合
取引先が振込手数料を差し引いて入金してくるケースです。この場合、売上そのものは請求額のままで、差し引かれた手数料は支払手数料などの費用として処理します。入金額を売上にしてしまうと、売上も費用も実態より小さくなってしまいます。
| 項目 | 処理 |
| 請求額 | 売掛金として計上済み |
| 実際の入金額 | 普通預金の増加 |
| 差し引かれた手数料 | 支払手数料として費用に計上 |
源泉徴収されている場合
報酬の種類によっては、支払う側が所得税を源泉徴収してから入金してくることがあります。法人が受け取る報酬は原則として源泉徴収の対象ではありませんが、取引先の処理によって差し引かれてしまう場面もあります。
この場合も、売上は請求額のまま計上し、差し引かれた税額は「仮払法人税等」など、あとで精算される資産として処理する考え方があります。処理方法は状況によって変わるため、源泉徴収されている入金があったら、そのまま自己判断せず顧問税理士に確認するのが安全です。法人が納める税金の全体像はマイクロ法人が払う税金一覧で整理しています。
期末をまたぐ売上はどちらの期?
決算月の前後に発生した取引は、どちらの期の売上にするかで税額が変わります。ここは「入金がいつか」ではなく「いつ提供が完了したか」で判断するのが原則です。
- 決算月に納品し、入金が翌期:売上は当期。期末時点では売掛金として残る
- 決算月に前払いで入金があり、提供は翌期:当期の売上にはせず、前受金として処理する考え方がある
「入金があったから今期の売上」と考えてしまうと、この判断を誤ります。マイクロ法人は取引件数が少ないぶん、1件の判断が利益に与える影響が相対的に大きくなります。期末付近の取引は、提供が完了した日付がわかる資料(納品書・完了報告など)を残しておくと、判断の根拠になります。決算の進め方全体は法人の決算・申告は自分でできる?を参考にしてください。
請求書の発行と帳簿をつなげておく
売上の記帳をラクにする一番の方法は、請求書を出した時点で帳簿に反映される状態を作ることです。請求書を別のツールや手書きで作っていると、発行と記帳が二度手間になり、請求漏れ・計上漏れも起きやすくなります。
請求書の作成と会計が同じ仕組みの中でつながっていれば、発行と同時に売掛金が立ち、入金時に消し込むだけで完結します。マイクロ法人は請求件数が少ないぶん、この一本化の効果を実感しやすい部分です。インボイス制度への対応が必要かどうかはマイクロ法人は消費税・インボイス登録すべき?で判断できます。
値引き・返金・入金されなかった場合
件数が少なくても、イレギュラーは起こります。処理の方向性だけ知っておくと、慌てずに済みます。
| 起きたこと | 考え方 |
| 請求後に値引きした | 売上値引きとして処理し、売掛金を減らす |
| いったん入金後に返金した | 返金の事実を記録し、売上の取り消しとして処理する |
| 取引先が支払えなくなった | 貸倒れとして処理できる場合があるが、要件がある |
とくに貸倒れの処理には税務上の要件があり、「入金がないから」というだけでは費用にできません。回収の努力をしたか、相手の状況がどうかといった事実関係が問われます。金額が大きい場合は自己判断せず、顧問税理士に相談してください。
また、値引きを「最初から少ない金額で請求したこと」にして帳簿を書き換えるのは避けてください。いったん立てた売上を、値引きとして減らした事実ごと残すほうが、あとから説明できる形になります。
売上が少ない期・ゼロの期の考え方
マイクロ法人では、意図的に売上を小さく保つ運用をしている人もいます。ただし売上がまったく立たない状態が続くと、事業実態そのものを疑われる材料になります。
このスキームは、法人が独立した事業として成り立っていることが前提です。記帳の観点でも、継続的に売上が計上されているかは説明の土台になります。売上の水準をどう考えるかはマイクロ法人の売上は最低いくら必要?、実態を伴わせる条件はマイクロ法人は「実態なし」と言われない?で整理しています。
逆に言えば、少ない件数でもきちんと請求書を発行し、入金を消し込み、記録が残っている状態を続けることが、そのまま実態の裏づけになります。記帳は事務作業であると同時に、証拠づくりでもあると考えると、丁寧にやる意味が見えてきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 入金があったときにまとめて売上を入力してはいけませんか?
A. 請求から入金までが同じ月に収まるなら結果が変わらない場面もありますが、月や決算をまたぐ取引では結果が変わります。あとから型を変えるほうが大変なので、請求時に立てる形にしておくのがおすすめです。
Q. 振込手数料が引かれた金額を売上にしてもいいですか?
A. 売上は請求額のまま計上し、差し引かれた手数料は費用として処理するのが基本です。入金額を売上にすると、売上も費用も実態より小さくなってしまいます。
Q. 法人なのに源泉徴収されて入金されました。
A. 法人が受け取る報酬は原則として源泉徴収の対象ではありませんが、取引先の処理で差し引かれることがあります。あとで精算される前提の処理が必要になるため、自己判断せず顧問税理士に確認してください。
Q. 売掛金の残高が合いません。どこを見ればいいですか?
A. まず請求書の発行漏れと、入金の消し込み漏れを確認します。残高のうち「どの案件の未入金か」を説明できないものがあれば、そこに処理漏れがある可能性が高いです。
Q. 決算月に納品して入金が翌月の場合、売上はどちらの期ですか?
A. 提供が完了した時点で判断するのが原則なので、納品した当期の売上になります。期末時点では売掛金として残る形です。判断の根拠になる納品書などを残しておいてください。
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請求書を出した時点で売掛金が立ち、入金で自動的に消し込める形にしておくと、請求漏れも計上漏れも起きにくくなります。件数の少ないマイクロ法人ほど、二度手間をなくす効果が出ます。
まとめ:売上は請求時、入金は消し込み
この記事の要点を整理します。
- 売上は入金時ではなく、提供が完了して請求できる状態になった時点で立てる
- 入金時は売掛金を消し込む。残高=未入金の請求額になる
- 振込手数料が引かれても、売上は請求額のまま。手数料は費用にする
- 期末をまたぐ売上は「いつ提供が完了したか」で判断する
- 請求書の発行と帳簿をつなげると、漏れも二度手間もなくなる
マイクロ法人の売上は件数が少ないぶん、1件ごとの処理を丁寧にしても負担になりません。むしろ件数が少ないからこそ、1件の計上漏れが利益に与える影響は大きくなります。請求と入金を分けて考える型を、最初に作っておいてください。
※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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