【2026年版】開業時の在庫・仕入はどう扱う?「売れた分だけ経費になる」仕組みと棚卸のやり方

節税・経費
【2026年版】開業時の在庫・仕入はどう扱う?「売れた分だけ経費になる」仕組みと棚卸のやり方

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「仕入れに30万円使ったのに、経費は10万円分しか認められないの?」
「棚卸って何をすればいいの?」
「開業前に買い込んだ商品はどうなるの?」

先に前提を共有します。このサイトが扱うマイクロ法人スキームとは、個人事業を続けながら、それとは別に役員が自分ひとりだけの小さな会社を持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を抑える仕組みです。物販系の事業は個人事業でもマイクロ法人でも人気の分野ですが、在庫の税務は開業1年目のつまずきどころの代表格です。全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。

この記事の結論は一行で言えます。「仕入は、売れた分だけがその年の経費になる」。この一点さえ腹落ちすれば、棚卸の意味も、在庫を抱えるリスクも、全部つながって見えてきます。

  • 売上原価という考え方
  • 年末の棚卸で何をするのか
  • 開業前に仕入れた商品の扱い
  • 在庫を抱えすぎるとどうなるか

仕入れた金額=経費、ではない

まず、いちばん大事な仕組みからです。商品の仕入代金は、支払った年の経費に全額なるわけではありません。その年の経費になるのは、売れた商品に対応する仕入分(売上原価)だけです。

例:1個1,000円で300個仕入れ、200個売れた年 金額
仕入に払ったお金 30万円
その年の経費になる分(売れた200個分) 20万円
経費にならず在庫として残る分(100個分) 10万円

残った100個分の10万円は消えるわけではなく、在庫(棚卸資産)として翌年に持ち越され、売れた年に経費になります。つまり「早いか遅いか」の話であって、損をする仕組みではありません。ただし、お金は先に出ていくのに、経費になるのは後。ここが物販の資金繰りの本質です。

「年末に仕入れて節税」が効かない理由

この仕組みから、ひとつ大事な結論が出ます。年末に駆け込みで仕入れても、売れていなければ経費にならないということです。「利益が出たから仕入れで圧縮しよう」という発想は、在庫が増えるだけで節税にはなりません。決算前の駆け込み購入が効きにくい話は、備品の場合も同じです(固定資産台帳の作り方参照)。

年末の棚卸で何をするのか

売れた分だけを経費にするには、年末時点で「売れていない分がいくらあるか」を数える必要があります。これが棚卸です。

やることは素朴です。

  1. 年末(12月31日)時点の在庫をすべて数える:商品ごとに数量を確定する
  2. 仕入単価を掛けて金額にする:評価の方法にはいくつかの種類がある
  3. 一覧表(棚卸表)にして保存する:日付・品名・数量・単価・金額

この在庫金額が決まると、その年の売上原価が「期首の在庫+その年の仕入−期末の在庫」で計算できます。棚卸は、その年の利益を確定させるための作業だというわけです。

在庫の評価方法には複数の種類があり、届出をしなければ最終仕入原価法という方法によることとされています。開業1年目は、この前提だけ知っておけば十分です。評価方法を選びたい場合は税理士に相談してください。

数が少なくてもやる

ハンドメイドや小規模なせどりだと「数個しかないから」と棚卸を省略したくなりますが、在庫がある事業なら規模にかかわらず必要な作業です。数が少ないうちに型を作っておけば、増えてからも同じやり方で回せます。年末に慌てないよう、普段から仕入と販売の記録を残しておくことが棚卸を軽くします。日々の記帳の型は記帳を会計ソフトで始める手順で扱っています。

開業前に仕入れた商品はどうなるか

開業準備として、開業日より前に商品を仕入れておくケースはよくあります。この扱いも整理しておきます。

開業前に仕入れた商品は、開業時の在庫(元入れの棚卸資産)として帳簿に載せ、売れた年に売上原価として経費になります。名刺やホームページのような「開業費」とは扱いが違う点に注意してください。商品の仕入は開業費には含めず、在庫として整理するのが基本です。

実務で大事なのは、ここでも記録です。

  • 仕入の領収書・明細を保管する:いつ・何を・いくらで買ったか
  • 開業日時点の在庫一覧を作る:これが帳簿のスタート地点になる

フリマ仕入などで領収書が出にくい場合も、取引画面の記録やスクリーンショットで「いくらで仕入れたか」を残しておいてください。仕入額の記録がないと、売上原価を証明できず、利益が実態より大きく計算されてしまいます。開業費との違いは名刺・ホームページ・ロゴは経費になる?もあわせてご覧ください。

在庫を抱えすぎると二重に苦しい

仕組みがわかると、在庫の怖さも見えてきます。在庫の抱えすぎは、税金と資金繰りの両面から効いてきます

何が起きるか
資金繰り お金は仕入時に出ていくのに、経費になるのは売れた後。現金が在庫に変わって動かなくなる
税金 売れていない在庫は経費にならないため、手元の現金が少ないのに利益(=税額)は大きい、という状態が起こる

「手元にお金がないのに納税額が大きい」という物販あるあるは、この構造から生まれます。在庫は「置いてある現金」ではなく「経費になる日を待っている支出」だと捉えて、仕入は売れる見込みの範囲で行うのが、1年目の鉄則です。経費全体の線引きはマイクロ法人の経費はどこまで認められるかもあわせてご覧ください。

記録の残し方:3点セット

在庫のある事業で、最低限そろえておく記録をまとめます。

  1. 仕入の記録:領収書・明細。フリマ仕入は取引画面の保存で代える
  2. 販売の記録:何がいつ・いくらで売れたか。プラットフォームの売上データを保存
  3. 年末の棚卸表:品名・数量・単価・金額の一覧

この3点がそろっていれば、売上原価の計算も、あとから説明を求められたときの対応も困りません。逆に、どれか1つでも欠けると利益の計算そのものが崩れます。とくにフリマ・ネット仕入は記録が流れやすいので、仕入のたびに保存する癖をつけてください。電子データの保存の考え方は電子帳簿保存法に会計ソフトで対応するで扱っています。

よくある質問(FAQ)

Q. 仕入れた金額は全部その年の経費になりますか?

A. なりません。その年の経費になるのは売れた分に対応する仕入(売上原価)だけです。売れ残りは在庫として翌年に持ち越され、売れた年に経費になります。

Q. 年末に多めに仕入れれば節税になりますか?

A. なりません。売れていない仕入は経費にならず、在庫が増えるだけです。お金だけが先に出ていくため、資金繰りはむしろ悪化します。

Q. 棚卸は何をすればいいですか?

A. 年末時点の在庫を商品ごとに数え、仕入単価を掛けて金額の一覧表を作ります。この在庫金額が決まると、その年の売上原価と利益が確定します。

Q. 開業前に仕入れた商品はどう扱いますか?

A. 開業時の在庫として帳簿に載せ、売れた年に経費になります。開業費とは扱いが違います。仕入額の記録(領収書や取引画面)を必ず残しておいてください。

Q. フリマで仕入れて領収書がありません。

A. 取引画面やスクリーンショットなど、いくらで仕入れたかを示す記録で代えます。記録がないと売上原価を証明できず、利益が実態より大きく計算されてしまいます。

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まとめ:売れた分だけが経費。だから記録と棚卸

この記事の要点を整理します。

  • 仕入は売れた分だけがその年の経費(売上原価)になる
  • 年末の駆け込み仕入は節税にならない。在庫が増えるだけ
  • 棚卸は年末の在庫を数えて金額の一覧を作る作業。規模が小さくてもやる
  • 開業前の仕入は開業時の在庫として載せる。開業費とは別物
  • 仕入・販売・棚卸の3点の記録がそろえば、利益の計算も説明もできる

在庫の税務は、仕組みを知らないと「思ったより経費にならない」「お金がないのに税金が来る」と二度驚くことになります。「売れた分だけが経費」という一行を最初に知っておくことが、物販1年目のいちばんの備えです。

※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。

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