【2026年版】固定資産台帳の作り方|マイクロ法人のパソコン・機材を取得から償却まで管理する
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「パソコンを買ったけど、経費で落としていいの?」
「固定資産台帳って何を書くもの?」
「毎年の減価償却って、自分で計算するの?」
先に前提を整理します。この記事で言うマイクロ法人とは、個人事業を続けながら、役員が自分ひとりだけの小さな会社(多くは合同会社、株式会社でも可)を別に持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を抑える仕組みのことです。全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説をご覧ください。
マイクロ法人で買うものといえば、パソコン・モニター・カメラ・工具といったところでしょうか。金額によって処理が変わるため、買った瞬間に判断して登録してしまうのがいちばんラクです。
- 固定資産台帳とは何を管理する帳簿なのか
- 金額によって変わる処理の分かれ道
- 耐用年数と償却をどう扱うか
- 売却・廃棄したときにやること
固定資産台帳とは
固定資産台帳は、会社が持っている資産を1件ずつ管理する帳簿です。いつ買って、いくらで、あと何年で費用になるのかを記録します。
| 登録する項目 | 使いみち |
| 取得年月日・取得価額 | 償却の計算の出発点になる |
| 資産の名称・数量 | どれのことか特定する |
| 耐用年数 | 何年に分けて費用にするかを決める |
| 償却方法 | 計算のしかたを決める |
| 期末の未償却残高 | 決算書に載る帳簿価額になる |
これを会計ソフトに登録しておくと、毎期の減価償却費が自動で計算され、決算のときにそのまま反映されます。手計算だと毎年やり直しになるので、ここは仕組みに任せる価値が大きい部分です。
金額によって処理が変わる
買ったものをどう処理するかは、金額によって分かれます。ここが最初の判断ポイントです。
- 10万円未満:その期の費用として処理できるのが基本
- 一定額未満:一括償却資産として3年で均等に費用化する方法もある
- 中小企業者等の少額減価償却資産の特例:要件を満たせば、一定金額未満のものを取得した期の費用にできる
- それを超えるもの:固定資産として計上し、耐用年数にわたって償却する
少額減価償却資産の特例は、令和8年4月1日以後に取得する資産から対象が40万円未満に引き上げられています(従来は30万円未満)。年間の合計額に上限がある点や、適用に要件がある点は変わりません。この改正の詳細と注意点はマイクロ法人のパソコン・備品を経費にする方法で扱っていますので、購入前に確認してください。
特例を使っても台帳には載せる
見落とされがちですが、特例で一括して費用にした資産も、固定資産台帳での管理が必要になるのが実務です。会計上は費用にしていても、償却資産税の対象になる場合があるためです。「経費にしたから台帳には不要」と考えないでください。
耐用年数と償却の考え方
固定資産として計上した場合、取得価額を耐用年数にわたって少しずつ費用にしていきます。耐用年数は資産の種類ごとに定められており、自分で自由に決められるものではありません。
会計ソフトでは、資産の種類を選ぶと耐用年数の候補が出てくる作りになっていることが多く、そこから選べば計算まで自動で進みます。自分でやることは「何を、いくらで、いつ買ったか」を正確に入れることだけです。
期の途中で買った場合
期の途中で取得した資産は、その期に使った月数に応じた分だけが費用になるのが基本です。つまり決算間際に高額なものを買っても、その期に費用にできる金額は限られます。「決算前に買って節税」という発想が思ったほど効かないのは、この仕組みがあるためです。決算前の考え方は月次試算表の読み方で利益を早めに把握しておくのが現実的です。
私用と兼用しているとき
一人社長の場合、パソコンやカメラを私用でも使うことは珍しくありません。この場合は、事業で使う割合に応じた按分が前提になります。
台帳には取得価額そのものを登録し、費用にする段階で按分を反映させる形が一般的です。按分の根拠(使用時間や用途)を記録に残しておくことが、あとから説明を求められたときの支えになります。按分の考え方はマイクロ法人の経費はどこまで認められるかを参照してください。
売却・廃棄したときにやること
資産を手放したときの処理は忘れられがちですが、放置するともう持っていない資産が帳簿に残り続けます。
| ケース | やること |
| 売却した | 台帳から除き、売却額と帳簿価額の差を損益として処理する |
| 廃棄した | 台帳から除き、残っていた帳簿価額を除却損として処理する |
| 使わなくなったが保有している | 台帳には残る。廃棄していないなら除却しない |
3つ目が要注意です。「使っていない」と「処分した」は別物で、実際に処分していないのに除却すると、実態と合わない処理になります。廃棄したなら、処分したことがわかる記録を残しておくと確実です。
台帳を作っておくと後がラクになる場面
固定資産台帳を整えておくと、次の場面でそのまま使えます。
- 決算:減価償却費が自動計算され、決算書に反映される
- 償却資産の申告:所有している資産の一覧がそのまま資料になる
- 税理士への相談:資産の状況を口頭で説明する必要がなくなる
とくに2つ目は、年明けの事務で効いてきます。1月の提出物についてはマイクロ法人の1月にやることにまとめていますので、あわせて確認しておくと年間の流れがつながります。
買わずに使う場合はどうなる
最近は、機材を買わずに使う選択肢も増えました。この場合、固定資産にはならないため台帳への登録も不要になります。
| 使い方 | 扱い |
| 購入する | 固定資産として計上し、耐用年数で償却する |
| レンタル・サブスクで使う | 使った期間の費用として処理する |
| リースを組む | 契約の形態によって扱いが分かれる |
3つ目のリースは、契約の内容によって実質的に購入と同じとみなされる場合があり、そのときは資産として計上する扱いになります。契約書の条件で判断が変わるため、リースを組むときは事前に顧問税理士へ確認しておくと安心です。
マイクロ法人の規模なら、高額な機材を買うより、必要なときに借りるほうが資金繰りにも按分の悩みにも優しい場面は多いはずです。実態のない資産を持たないという意味でも、身軽さは強みになります。
台帳が空でも困らないが、放置は困る
事業内容によっては、固定資産がまったくない会社もあります。パソコン1台が特例で費用になっていれば、台帳に載る資産がゼロということもありえます。それ自体は何の問題もありません。
問題になるのは、資産があるのに登録していない状態です。この場合、次のようなずれが生じます。
- 減価償却費が計上されず、利益が実態より大きく出る
- 決算書の資産の部が実態と合わない
- 償却資産の申告が必要な場合に、把握できない
とくに1つ目は、納税額に直接影響します。買ったときに判断して登録するという習慣さえあれば、こうしたずれは起きません。買い物の頻度が低いマイクロ法人にとって、これは十分に守れるルールです。月次の点検項目はマイクロ法人の毎月の経理ルーティンにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 10万円未満のものも台帳に登録すべきですか?
A. その期の費用として処理できる金額のものは、台帳での管理が不要な場合もあります。一方、特例を使って一括で費用にしたものは、償却資産税の関係で管理が必要になることがあります。
Q. 耐用年数は自分で決めていいですか?
A. 資産の種類ごとに定められており、自由には決められません。会計ソフトでは資産の種類を選ぶと候補が示されるため、そこから選ぶ形になります。
Q. 決算前にパソコンを買えば節税になりますか?
A. 固定資産として計上する場合、その期に費用にできるのは使った月数分に限られます。期末間際の購入は思ったほど効果が出ないため、利益の見通しは早めに立ててください。
Q. 私用でも使うパソコンはどう登録しますか?
A. 取得価額そのものを登録し、費用にする段階で事業使用分を按分するのが一般的です。按分の根拠を記録に残しておいてください。
Q. 壊れて捨てたパソコンはどう処理しますか?
A. 台帳から除き、残っていた帳簿価額を除却損として処理します。実際に処分したことがわかる記録を残しておくと確実です。
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取得日・金額・耐用年数を登録しておけば、毎期の減価償却費は自動で計算され、決算にそのまま反映されます。資産の数が少ないマイクロ法人なら、登録は買ったときの数分だけです。
まとめ:買った瞬間に判断して、登録まで済ませる
この記事の要点を整理します。
- 固定資産台帳は「何を・いくらで・いつ買ったか」を管理する帳簿
- 処理は金額によって分かれる。特例は令和8年4月以後の取得から40万円未満に拡大
- 特例で費用にしたものも、台帳での管理が必要になることがある
- 期の途中の取得は月数分しか費用にならない。期末の駆け込みは効きにくい
- 売却・廃棄したら台帳から除く。「使っていない」だけでは除却しない
固定資産の処理は、判断を先送りするほど面倒になります。買ったその日に「これは費用か資産か」を決めて登録してしまえば、決算のときには何もすることがありません。資産の数が少ないマイクロ法人なら、これは十分に実行できる習慣です。
※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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