【2026年版】マイクロ法人のパソコン・備品を経費にする方法|少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大

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【2026年版】マイクロ法人のパソコン・備品を経費にする方法|少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大

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「マイクロ法人でパソコンを買ったけど、その年に全額を経費にしていいの?」
「20万円くらいの機材は、何年かに分けて経費にしないといけない?」
「消耗品費と減価償却って、そもそも何が違うの?」

まず前提を共有しておきます。この記事で扱うマイクロ法人とは、個人事業はそのまま続けながら、役員が自分ひとりだけの小さな会社(多くは合同会社、株式会社でも可)をもう一つ持ち、役員報酬を低めに設定することで社会保険料の負担を軽くする「マイクロ法人スキーム」の器となる法人のことです。なぜこの形で社会保険料が下がるのか、その全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説にまとめてあるので、先に読んでおくと本記事の位置づけもつかみやすくなります。

私自身、法人を作った初年度に仕事用のノートパソコンを買い替え、「これは一度に経費にできるのか、それとも数年かけて償却するのか」を顧問税理士の先生に確認しました。答えは金額によって変わる、というものでした。この記事でわかることは次のとおりです。

  • 経費処理が「金額」で3つに分かれるという基本
  • 40万円未満を一括損金にできる「少額減価償却資産の特例」の中身と要件(令和8年度税制改正で拡大)
  • 一括償却資産(3年均等償却)という選択肢との違い
  • 中古資産や自分の私物を法人に移すときの注意点

パソコン・備品の経費処理は「金額」で3つに分かれる

結論から言うと、備品を買ったときの処理は、1つあたりの取得価額(買った値段)によって扱いが変わります。ざっくり整理すると次の3段階です。

1つあたりの金額 原則の処理 イメージ
10万円未満 消耗品費などで全額その年の経費 マウス・キーボード・安価な椅子など
10万円以上40万円未満 少額減価償却資産の特例で一括損金(青色申告が要件) 10万〜30万円台のパソコンなど
40万円以上 原則どおり減価償却(数年に分けて経費) 高性能PC・高価な機材など

⚠️ 2026年(令和8年)4月から「30万円未満」→「40万円未満」に拡大されました

少額減価償却資産の特例は、令和8年度税制改正で対象が取得価額40万円未満へ引き上げられました。適用されるのは令和8年4月1日以後に取得して事業に使い始めた資産で、それより前に取得したものは従来どおり30万円未満が基準です。判定は事業年度ではなく資産ごとの取得日で行うため、同じ事業年度内でも3月に買ったものと4月に買ったもので基準が変わる点に注意してください。年間300万円の上限は据え置き、適用期限は令和11年3月31日まで延長されています。(出典:中小企業庁国税庁 No.5408。国税庁タックスアンサーは改正の反映に時間差があるため、最新の取扱いは顧問税理士にご確認ください)

ここで大事なのは、金額の判定は「1セットあたり」で行うという点です。たとえばパソコン本体とモニターを別々に買った場合は、それぞれの金額で判定します。また、税込経理か税抜経理かによって判定に使う金額(税込か税抜か)が変わるため、自社がどちらの経理方法かを会計ソフトの設定で確認しておくと迷いません。どこまでが経費になるかという線引きそのものはマイクロ法人の経費はどこまで?もあわせて読むと整理しやすくなります。

10万円未満は「消耗品費」で全額その年の経費

いちばんシンプルなのが、1つあたり10万円未満のものです。これは「少額の減価償却資産」として、買った年に全額を経費として処理できます。勘定科目は消耗品費や事務用品費などを使うのが一般的です。

マウス、キーボード、Webカメラ、USBメモリ、数千円〜数万円のデスク周りの備品などは、たいていここに収まります。減価償却の計算もいらないので、マイクロ法人のように取引が少ない会社では、この範囲の買い物が経理としてはいちばん楽です。難しく考えず、事業で使うものであれば、その月の経費として素直に記帳しておけば大丈夫です。

10万〜40万円未満は「少額減価償却資産の特例」で一括損金

マイクロ法人にとって特に知っておきたいのが、この少額減価償却資産の特例です。本来なら数年に分けて減価償却しなければならない10万円以上の資産でも、1つあたり40万円未満であれば、買った年に全額を損金(経費)にできるという制度です(令和8年4月1日以後に取得したもの。それ以前の取得は30万円未満が基準)。青色申告をしている中小企業者などが対象で、多くのマイクロ法人が使える可能性があります。

この40万円への引き上げは、物価高で機材の値段が上がっていることを踏まえた改正です。以前は「30万円を超えるパソコンは数年かけて償却」でしたが、今は30万円台の機材も買った年に全額落とせるようになりました。仕事用のパソコンは30万円台に収まることも多いので、マイクロ法人にとっては実感しやすい変更点だと思います。

青色申告が要件になる

この特例を使うには、青色申告の承認を受けていることが前提になります。マイクロ法人は設立時に青色申告の承認申請を出しているケースが多いですが、出し忘れていると特例が使えません。設立まわりの手続きの全体像は設立手順5ステップで確認できます。青色申告になっているか不安な場合は、税務署への提出状況を確認しておきましょう。

年間の合計に上限がある

もう一つ重要なのが、この特例で一括損金にできる金額には、1事業年度あたり合計300万円までという上限がある点です(事業年度が1年に満たない場合は月割りで調整されます)。とはいえマイクロ法人は設備投資が少ないことが多く、この上限に達する会社はそれほど多くありません。パソコンやデスクをいくつか買う程度なら、まず問題にならない範囲でしょう。

私も20万円ほどのノートパソコンを買った年に、この特例でその年の経費として処理しました。減価償却の表を作らずに済み、利益の調整にも使いやすいと感じました。ただし、この特例は年度によって適用期限や要件が見直される制度です。実際、令和8年度改正では金額が30万円未満から40万円未満へ拡大される一方、対象となる中小企業者の従業員数要件は500人以下から400人以下へ引き下げられました(一人社長のマイクロ法人には影響しません)。使う年に有効かどうか、最新の内容は必ず公式や顧問税理士に確認してください。

40万円以上は減価償却、迷ったら「一括償却資産」も選択肢

1つあたり40万円以上の資産は、原則どおり減価償却で処理します。耐用年数に応じて、取得価額を数年に分けて少しずつ経費にしていく方法です。高性能なパソコンや高価な機材を買った場合は、こちらになります。

さらに、10万円以上20万円未満のものについては、一括償却資産という選び方もあります。これは取得価額を3年間で均等に経費化する方法で、少額減価償却資産の特例とは別の制度です。特例の年間300万円の枠を使いたくないときや、償却資産税(固定資産税)の観点から使い分けたいときなどに検討されます。どちらが有利かは会社の状況によって変わるため、判断に迷う場合は税理士に相談するのが確実です。

方法 対象の目安 経費にするペース
消耗品費など 10万円未満 その年に全額
一括償却資産 10万円以上20万円未満 3年間で均等に
少額減価償却資産の特例 40万円未満(青色申告が要件。令和8年4月1日以後の取得。それ以前は30万円未満) その年に全額
通常の減価償却 40万円以上 耐用年数に応じて数年で

中古資産・私物を法人に移すときの注意

「新品を買う」以外にも、備品を用意する方法があります。ここでよくあるのが、中古品を買うケースと、もともと自分が持っていた私物を法人で使うケースです。

中古のパソコンなどを買った場合、耐用年数の考え方が新品とは異なり、より短い年数で計算できることがあります。結果として1年あたりの経費が大きくなることもあるため、中古を選ぶ判断材料になる場合があります。一方、自分の私物を法人に移して経費にしたいときは、少し慎重さが必要です。適正な価額で法人に売る(または現物出資する)といった形を取り、金額の根拠を残しておかないと、あとで説明を求められたときに困ることがあります。

マイクロ法人は個人事業と二刀流で運営している人も多く、「これは個人のものか、法人のものか」があいまいになりがちです。備品も、法人の事業で使うものは法人の資産として、個人の生活で使うものは個人の負担として、できるだけはっきり分けておくのが安全です。個人と法人の費用の分け方は個人事業主との二刀流戦略の考え方とも通じるので、あわせて意識しておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. マイクロ法人でも少額減価償却資産の特例は使えますか?

A. 青色申告をしている中小企業者などが対象なので、多くのマイクロ法人が使える可能性があります。ただし、青色申告の承認を受けていることや、その年に特例が適用できる制度として有効であることが前提です。適用の可否は最新の要件を確認してください。

Q. 特例の上限はいつから40万円になりましたか?30万円台のパソコンは全額落とせますか?

A. 令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得して事業に使い始めた資産から40万円未満が基準になりました。したがって30万円台のパソコンも、この日以後の取得であれば買った年に全額を損金にできます。令和8年3月31日までに取得したものは従来どおり30万円未満が基準なので、購入日で判定してください。

Q. 10万円未満かどうかは、税込・税抜どちらで判定しますか?

A. 会社が採用している経理方法によって変わります。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定するのが基本です。会計ソフトの設定を確認し、迷う場合は税理士に確認しましょう。

Q. 特例の年間300万円の枠は、マイクロ法人でも気にする必要がありますか?

A. マイクロ法人は設備投資が少ないことが多く、上限に達するケースはあまり多くありません。ただ、大きな買い物が重なった年には枠を意識する必要があります。事業年度が1年未満の場合は枠が月割りで調整される点にも注意してください。

Q. パソコンを買ったら、必ず一括で経費にしたほうが得ですか?

A. 一概には言えません。利益が出ている年は一括損金が有効に働くことが多いですが、赤字の年に一括で落としても効果が薄い場合もあります。会社の利益状況によって有利・不利が変わるため、判断に迷うときは税理士に相談するのが確実です。

Q. 自分の私物のパソコンを法人の経費にできますか?

A. 法人に適正な価額で売る、または現物出資するといった手続きを取れば、法人の資産として扱える場合があります。ただし金額の根拠を残しておく必要があり、あいまいなまま経費にするのは避けたほうが安全です。具体的な進め方は税理士に確認してください。

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まとめ:金額の3段階を押さえれば、備品の経費処理は迷わない

この記事の要点を整理します。

  • 10万円未満は消耗品費などで全額その年の経費にできる
  • 10万〜40万円未満は少額減価償却資産の特例で一括損金にできる(青色申告が要件)
  • 40万円未満への拡大は令和8年4月1日以後の取得分から。それ以前は30万円未満
  • 特例には1年あたり合計300万円までの上限がある(改正後も据え置き)
  • 40万円以上は原則どおり減価償却、10万〜20万円未満は一括償却資産の選択肢もある
  • 中古資産や私物を法人に移すときは金額の根拠を残す

マイクロ法人は買い物の数が少ないぶん、この金額の3段階さえ押さえておけば、備品まわりの経費処理でつまずくことはほとんどありません。青色申告になっているかを確認し、特例が使える年かどうかを最新の情報でチェックしたうえで、無理なく活用してみてください。有利・不利の判断に迷うときは、設備を買う前に税理士へ相談しておくと安心です。

※本記事は2026年8月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。

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