【2026年版】夫婦フリーランスは法人1つ?2つ?マイクロ法人の持ち方を整理
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「夫婦どっちもフリーランス。法人は1つ作ればいい?それとも2つ?」
「1つの会社に2人で入ると社会保険はどうなるの?」
「別々に作ると維持費が2倍。それでも意味はある?」
夫婦がそろって個人事業主・フリーランスの場合、マイクロ法人の「持ち方」に選択肢が生まれます。前提として、ここで言うマイクロ法人とは、個人事業を続けながら、役員ひとりの小さな会社(合同会社が選ばれることが多く、株式会社でも可)を別に設立し、役員報酬を低く設定して社会保険料の負担を抑える「マイクロ法人スキーム」を回すための法人のことです。スキームの基本設計はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説で詳しく解説していますので、仕組みから確認したい方はそちらをどうぞ。
我が家も夫婦で事業に関わっているため、「法人をどう持つか」は他人事ではありませんでした。顧問税理士の先生に相談したとき、最初に言われたのは「1つにまとめるか、各自持つかは、社保が1人分か2人分かで大きく変わる」ということでした。この記事では、その勘所を整理します。わかることは次のとおりです。
- 夫婦がともに個人事業主のときの法人の持ち方の選択肢
- 1つの法人に夫婦2人が入る場合の社保・役員報酬の設計
- それぞれが別々に法人を持つ場合のコストと効果
- 共同経営(合同会社の複数社員)の可否と注意点
- 世帯でいちばん無駄が出ない持ち方の考え方
夫婦それぞれが個人事業主のときの選択肢
夫婦ともにフリーランスの場合、マイクロ法人の持ち方は大きく次の3パターンに整理できます。
| 持ち方 | 概要 | 社会保険 |
| ①法人1つ・夫婦で共同 | 1社に夫婦2人が関与 | 役員の入り方で1〜2人分 |
| ②各自1つずつ(計2社) | 夫婦それぞれが自分の法人 | 2人分の社保・維持費 |
| ③片方だけ法人(もう片方は個人のまま) | 負担の重い側だけ法人化 | 1人分の社保 |
どれを選ぶかは、「夫婦それぞれの所得の重さ」「社会保険を2人分持つ必要があるか」「維持費をいくつ抱えられるか」で変わります。マイクロ法人は社保削減が主目的なので、社保が何人分必要かという視点が判断の中心になります。
1つの法人に夫婦2人が入る場合の社保・役員報酬設計
1つの合同会社などに夫婦2人がそろって関与する形です。持ち方としてはシンプルに見えますが、社会保険の設計には注意が要ります。
2人とも役員報酬を取ると社保も2人分
夫婦がともに役員として役員報酬を受け取り、社会保険に加入すると、健康保険・厚生年金は2人分発生します。1社にまとめても、社保加入者が2人なら保険料は2人分かかる点は変わりません。「会社を1つにすれば社保も1つ分」という誤解に注意が必要です。
一方だけ役員報酬、他方は扶養にとどめる設計
たとえば夫が役員報酬を取って社会保険に加入し、妻は収入要件を満たして夫の被扶養者にとどまる、という形なら社保は実質1人分に近づきます。ただし妻が事業でしっかり稼いでいる場合、無理に扶養に押し込むのは実態と合わず現実的でないこともあります。役員報酬の下限には制度上の目安があり、厚生年金の標準報酬月額の下限は88,000円が一つの基準です。報酬をこれより下げても社保が下限で頭打ちになる仕組みがある点も押さえておきましょう。
私の顧問税理士の先生は「夫婦を1社に入れるなら、2人とも社保に入るのか、片方は扶養に残すのかを最初に決めないと設計が定まらない」と話していました。1社共同は器が1つで済む反面、社保の入り方の設計が肝になります。
それぞれが別々にマイクロ法人を持つ場合のコストと効果
夫婦がそれぞれ自分のマイクロ法人を持つ形です。夫婦の事業がまったく別で、それぞれ独立して稼いでいる場合に選択肢になります。
メリットは、事業ごとに器が分かれて経理や責任範囲が明確になること、各自が自分の事業に応じて役員報酬を設計できることです。一方、デメリットは維持費が2社分かかる点です。法人住民税の均等割は赤字でも毎年発生し、目安として1社あたり年7万円程度、税理士費用や会計ソフト代も2社分積み上がります。維持費の全体像は合同会社の維持費で確認できます。
| 法人1つ・共同 | 各自1つ(2社) | |
| 維持費 | 1社分 | 2社分 |
| 事業の分離 | 1社に同居 | 明確に分かれる |
| 社保の設計自由度 | 2人分の設計が必要 | 各自で独立設計 |
2社持つなら、維持費の増分を上回るだけの社保削減や所得分散の効果があるかを見極める必要があります。単に「夫婦だから2つ」ではなく、効果と維持費のバランスで判断することが大切です。
目安として考えると、2社目を持つことで新たに年間十数万円規模の維持費(均等割+会計・税理士まわりの費用)が上乗せされます。これを正当化できるのは、もう一方の配偶者にも国保・国民年金の重い負担があり、法人化して社保に切り替えることで維持費以上の削減が見込める場合です。逆に、もう一方の所得が細く社保の負担も軽いなら、無理に2社目を作らず個人事業のまま置いておく、あるいは1社に共同で入る形のほうが世帯としては軽くなることが多くなります。
私の顧問税理士の先生も「夫婦で2社は、両方に十分な事業と負担があって初めて意味が出る。どちらか一方が細いなら、まず重い側だけ法人化して様子を見るのが堅い」と話していました。器を増やすほど手間も申告も倍になるため、拡張は段階的に考えるのが安全です。
共同経営(合同会社の複数社員)の可否と注意点
合同会社では、夫婦2人がともに「社員(出資者)」となる共同経営の形も取れます。ただし、いくつか注意点があります。
- 2人が業務執行社員として報酬を取ると、社保も2人分になり得る
- 出資割合や利益配分をあらかじめ定款・合意で明確にしておく必要がある
- 意思決定や解散のときに2人の合意が要り、身動きが取りにくくなる場合がある
- マイクロ法人の狙い(社保削減)と、共同経営の実態が両立するかを確認する
夫婦で1つの会社を共同運営することのメリット・デメリットは夫婦で会社設立でも掘り下げています。共同経営は器が1つで済む一方、運営の柔軟性が下がることがあるため、将来の変化も見据えて選ぶのがよいでしょう。なお、「自分がもう1社作れば社保がさらに下がるのでは」という発想は誤りになりやすく、2社目のマイクロ法人では社保は下がらないで理由を解説しています。
世帯で最も無駄が出ない持ち方の考え方
ここまでを踏まえ、世帯で無駄を出さない持ち方を考える順序を整理します。
- まず社保を何人分必要とするかを決める(2人とも社保が要るのか、片方は扶養で足りるのか)
- 次に維持費を何社分まで許容できるかを見る(均等割・税理士費用は器の数だけ増える)
- 事業が別々で分けたほうが管理しやすいなら2社、同居で足りるなら1社
- 迷ったら、負担の重い側だけ先に法人化し、後から広げる選択も
「夫婦だから対称に2つ」と決め打ちするより、社保の必要人数と維持費の許容範囲から逆算するほうが無駄が出にくくなります。世帯の事業構成は家庭ごとに異なるので、設計は個別に組むのが前提です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 夫婦で1つの法人にすれば社会保険料も1つ分で済みますか?
A. 必ずしもそうではありません。夫婦2人がそれぞれ役員報酬を取って社会保険に加入すれば、保険料は2人分かかります。1社にまとめても、社保加入者の人数分の負担が生じる点は変わりません。
Q. 別々に2社作るのは無駄ですか?
A. 一概には言えません。事業が完全に別で、それぞれ社保や所得分散の効果が出るなら、2社分の維持費を上回る意味が生まれることもあります。維持費の増分と効果を比べて判断してください。
Q. 負担の重い側だけ法人化するのはあり?
A. 選択肢として現実的です。国保・国民年金の負担が重い側だけ先に法人化し、社保に切り替えることで世帯の負担を下げる設計は考えられます。将来もう一方も法人化する余地を残せます。
Q. 合同会社で夫婦が共同社員になると経営はどうなりますか?
A. 出資割合や利益配分、意思決定のルールを定款や合意で定めておく必要があります。2人の合意が要る場面が増えるため、柔軟性は下がることがあります。運営方針を事前にすり合わせておくことが大切です。
Q. 夫婦それぞれの個人事業はどうなりますか?
A. 法人を持っても、個人事業を続ける二刀流が基本です。生活費の多くは個人事業側の所得でまかない、法人は社保の器として使う設計が一般的です。事業配分は税理士と相談して決めるのが確実です。
まとめ:法人の数は「社保の人数」と「維持費」から逆算する
この記事の要点を整理します。
- 夫婦の持ち方は「1つ共同」「各自1つ」「片方だけ」の3パターンが基本
- 1社にまとめても、夫婦2人が社保に入れば保険料は2人分。器の数と社保人数は別問題
- 各自1つずつ持つと維持費(均等割・税理士費用など)が2社分かかる
- 合同会社の共同経営は器が1つで済む一方、運営の柔軟性が下がることがある
- 「夫婦だから2つ」ではなく、必要な社保の人数と許容できる維持費から逆算するのが無駄を出さないコツ
夫婦フリーランスの法人の持ち方は、対称に作るより「どこに負担が集中しているか」から設計するほうが合理的です。社保の必要人数と維持費の許容範囲を先に決め、そこに事業の分け方を重ねて選んでください。世帯全体の最適解は個別性が高いので、実行前に顧問税理士と一緒に試算することをおすすめします。
※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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