【2026年版】マイクロ法人の社会保険料は月いくら?役員報酬別の実額と内訳を試算
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「マイクロ法人にしたら、社会保険料って毎月いくら引かれるの?」
「健康保険と厚生年金、それぞれの内訳が知りたい」
「役員報酬を最低ラインにしたら、社保は本当に安くなるの?」
この記事は、そんな「実額はいくら?」という疑問に、役員報酬別の試算で答えるものです。前提を先に共有しておくと、ここで扱うマイクロ法人とは、個人事業を本業として続けながら、役員が自分一人だけの小さな会社(多くは合同会社、株式会社でも可)をもう一つ用意し、その会社からの役員報酬をあえて低く抑えることで、社会保険料の負担を軽くする「マイクロ法人スキーム」の器を指します。仕組みの全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説にまとめているので、初めての方はそちらを先にご覧ください。
私自身も現役のマイクロ法人社長で、設立前に一番気になったのが「で、毎月いくら払うことになるの?」という一点でした。この記事でわかることは次のとおりです。
- 社会保険料が「標準報酬月額×保険料率」で決まる基本の仕組み
- 役員報酬45,000円・58,000円・10万円だと社保が月いくらになるかの試算
- 会社負担分と個人負担分を合算した「実質の自己負担」の考え方
- 個人の国保・国民年金と比べてどれだけ下がるかの目安
- 実額を出すときに押さえておきたい注意点
マイクロ法人の社会保険料はどう決まる?
会社から役員報酬を受け取ると、健康保険と厚生年金に加入します。このときの保険料は、受け取る報酬額をそのまま使うのではなく、「標準報酬月額」という区切りのいい金額に当てはめ、そこに保険料率をかけて計算します。
ここで大事なのが、標準報酬月額には下限(下の限度)があるという点です。役員報酬をいくら低く設定しても、社会保険料は一定額より下がりません。2026年時点の目安では、健康保険の最低等級が標準報酬月額58,000円、厚生年金は下限が88,000円とされています。つまり月45,000円の役員報酬にしても、厚生年金の計算上は88,000円として扱われる、というイメージです。この下限のロジックを理解しておくと、後の試算がすっと入ってきます。役員報酬額そのものの決め方は役員報酬はいくらが最適かで詳しく触れています。
役員報酬45,000円・58,000円・10万円だと社保は月いくら?
実際に、3つの役員報酬パターンで社会保険料の目安を並べてみます。保険料率は協会けんぽの一般的な水準(健康保険は都道府県によって多少差があり、ここでは介護保険料のない40歳未満・おおむね10%前後、厚生年金は18.3%)を前提とした概算です。金額はすべて「約」の目安で、会社負担分と個人負担分を合わせた合計を示します。
ご自身の都道府県の正確な料率と本人負担額は、協会けんぽ 都道府県別保険料率 早見表(令和8年度)で確認できます。
| 役員報酬(月) | 健康保険(月・目安) | 厚生年金(月・目安) | 合計(月・目安) |
| 45,000円 | 約6,000円前後 | 約16,000円前後 | 約22,000円前後 |
| 58,000円 | 約6,000円前後 | 約16,000円前後 | 約22,000円前後 |
| 100,000円 | 約10,000円前後 | 約18,000円前後 | 約28,000円前後 |
表を見て「45,000円と58,000円で合計がほとんど変わらない」と感じた方は鋭いです。これは、厚生年金の計算が下限の88,000円で頭打ちになるためで、役員報酬を45,000円まで下げても厚年部分は58,000円のときと同じ扱いになる、というのがからくりです。役員報酬を極端に下げても社保が思ったほど下がらない理由がここにあります。なお、役員報酬を0円にすると社会保険には加入できない点は要注意で、これはスキームの前提が崩れるため避けたいところです。詳しくは役員報酬0円は社保に入れないで解説しています。
年額に直すとどれくらい?
月22,000円前後なら、年間ではおよそ26〜27万円前後が社会保険料の目安になります。月10万円の役員報酬でも年34万円前後です。ここに、赤字でもかかる法人住民税の均等割(年7万円程度)などの維持費が別途乗ってくる、という全体像を持っておくと判断を誤りにくくなります。
なぜ役員報酬より社保が高く感じる?会社負担分と個人負担分の合算
「役員報酬45,000円なのに、社保が月22,000円って高すぎない?」と感じる方も多いはずです。これは、社会保険料が会社負担分と個人負担分の半々(労使折半)で成り立っていることが背景にあります。給与明細で個人から天引きされるのは半分だけですが、残り半分は会社が払っています。
ところがマイクロ法人では、その会社を持っているのも保険料を負担しているのも実質的に自分一人です。つまり会社負担分も個人負担分も、どちらも自分の財布から出ていくと考えるのが実態に近く、だから「役員報酬に対して社保の負担割合が大きく見える」わけです。私も最初はこの二重構造がピンとこず、顧問税理士の先生に「会社と個人を別々に見ず、合算で捉えてください」と言われて腹落ちした記憶があります。試算するときは、必ず合計額で見るのが誤解を防ぐコツです。
個人の国保・国民年金と比べてどれだけ下がる?
マイクロ法人にする前、個人事業主として払っていたのは国民健康保険料と国民年金保険料でした。国民年金は所得に関係なく定額で、2026年時点の目安で年21万円前後。一方、国民健康保険料は所得に比例して増える所得割が中心のため、稼ぐほど重くなり、高所得層では賦課限度額(保険料の上限、令和7年度の目安で年109万円)に達します。国保の重さは国民健康保険が高すぎると感じたら読む記事でも掘り下げています。
| 事業所得の目安 | 個人:国保+国民年金(年・目安) | 法人:社保(年・目安) |
| 500万円 | 約70万円台 | 約27万円前後 |
| 800万円 | 約100万円前後 | 約27万円前後 |
ポイントは、個人側は所得に比例して増えるのに、法人側の社保はほぼ定額で頭打ちという点です。だから所得が高いほど差が開きます。ただし、この社保の差だけを見て「必ず得」と結論づけるのは早計で、法人の維持費(均等割・会計費用など)を差し引いて初めてネットの効果が見えてきます。
家族を扶養に入れられるケースは差がさらに広がる
上の比較は単身の前提ですが、配偶者や子どもを社会保険の扶養に入れられる場合、家族の分の国民健康保険料が丸ごと不要になります。国保は世帯の人数でも保険料が増える仕組みのため、扶養家族が多いほど個人側の負担は重く、マイクロ法人に切り替えたときの差はさらに広がる傾向があります。逆に、自分が配偶者の勤務先の社会保険の扶養に入っている場合は前提がまったく変わるので、世帯全体で見て判断することが欠かせません。私も設立前に、家族構成まで含めて紙に書き出して比べたことで、思っていたより効果が大きいと気づけました。
実額を出すときの注意点
ここまでの数字はあくまで概算です。ご自身のケースで正確に出すには、次の点に注意してください。
- 健康保険料率は都道府県で差がある:協会けんぽの料率は都道府県ごとに公表されているので、お住まい(会社所在地)の料率表で確認してください。
- 40歳〜64歳は介護保険料が上乗せ:この年齢帯は健康保険料に介護分が加わるため、上表より少し増えます。
- 保険料率は毎年改定されうる:厚生年金・健康保険とも料率は見直されることがあります。最新の料率で計算し直しましょう。
- 賞与を出すと別途保険料がかかる:役員報酬を月額で払う前提の試算です。賞与設計をする場合は別計算が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 役員報酬を45,000円にすれば社保は最安になりますか?
A. 厚生年金は下限の88,000円で頭打ちになるため、45,000円でも58,000円でも社保の合計はほぼ同じ水準になります。そのため「45,000円だから特別に安い」わけではありません。手取りや生活設計、後述の年金額とのバランスで決めるのが現実的です。
Q. 会社負担分は経費になるから、実質もっと安いのでは?
A. 会社負担分は法人の経費(損金)にはなりますが、その分を負担しているのも自分です。節税効果を織り込むと見え方は変わりますが、まずは「合算した保険料が丸ごと自分の負担」と捉えて全体像をつかむのが安全です。細かい税効果は顧問税理士に確認することをおすすめします。
Q. この社保額はずっと同じですか?
A. 役員報酬を変えなければ標準報酬月額は原則同じですが、保険料率が改定されれば金額は動きます。また役員報酬を大きく変えると等級が変わり、保険料も変わります。毎年、最新の料率で確認する習慣をつけると安心です。
Q. 生活費は役員報酬だけでまかなうのですか?
A. マイクロ法人スキームは、生活費の多くを個人事業(本業)の所得からまかない、法人の役員報酬は社会保険に加入するための最小限に抑えるのが基本形です。役員報酬の額と生活設計の関係は完全解説記事で図解しています。
Q. 将来の年金が減るのが心配です。
A. 標準報酬月額が下限に近いと、厚生年金の上乗せ部分も最低水準で積み上がります。それでも国民年金だけの場合と比べると上乗せがある分は有利になり得ますが、減らせた保険料の一部をiDeCoなどで自分で備える設計が現実的です。
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まとめ:社保は「合計・年額・下限」で捉える
この記事の要点を整理します。
- 社会保険料は標準報酬月額×保険料率で決まり、厚生年金は下限88,000円で頭打ちになる
- 役員報酬45,000円でも58,000円でも社保の合計は月22,000円前後とほぼ同じ水準
- 会社負担分も個人負担分も実質は自分の財布。必ず合計額で捉える
- 個人の国保・国民年金は所得に比例して増えるため、高所得ほど差が開く
- 料率の都道府県差・介護分・年度改定で金額は動くので、最新の料率で確認する
社会保険料の実額は、月額・年額・下限の3点を押さえれば意外とシンプルに見えてきます。桁感をつかんだら、次は法人の維持費まで含めたトータルで損得を判断し、迷うところは顧問税理士に確認してみてください。数字を先に出しておくと、設立の判断がぐっと楽になります。
※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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