【2026年版】自宅兼事務所の電気代・水道光熱費はマイクロ法人の経費にできる?按分の考え方と注意点
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「自宅で仕事をしているけど、電気代やガス代は会社の経費になるの?」
「按分するとして、割合はどう決めればいいの?」
「役員社宅にしていると、光熱費の扱いは変わる?」
先に前提を整理します。ここで扱うマイクロ法人とは、個人事業を営みつつ、それとは別に役員が自分ひとりだけの小さな会社(実務では合同会社が多く、株式会社でも設立できます)を持ち、役員報酬を低めに設定して社会保険料の負担を抑える「マイクロ法人スキーム」を成り立たせるための会社のことです。仕組み全体はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説にまとめてありますので、背景から知りたい方はそちらもご覧ください。
自宅で作業する一人社長にとって、光熱費は身近な費目です。ただ、電気やガスは生活そのものにも使うため、どこまでが事業の分なのかの線引きが難しいところです。私も顧問税理士の先生に相談したとき、「光熱費は前提条件で扱いが変わります。まず自宅が社宅かどうかを整理しましょう」と言われました。この記事では、光熱費に絞って按分の考え方を整理します。経費になる・ならないを断定するものではありませんので、判断の材料としてお読みください。
- 光熱費が経費になる前提(社宅にしている場合/していない場合)
- 按分の基準(面積・使用時間などの合理的な根拠)
- 役員社宅にしていると光熱費の扱いはどう変わるか
- 個人事業の家事按分との違い(二刀流での付け方)
- 税務調査で説明できる資料の残し方
光熱費が経費になる前提
光熱費を会社の経費にできるかは、その住まいが会社の事業とどうつながっているかで変わります。大きく分けて、自宅を役員社宅にしているかどうかで前提が違います。
| 状況 | 光熱費の考え方 |
| 自宅を役員社宅にしている | 光熱費は基本的に居住にかかる費用で、原則は個人が負担する部分が多い |
| 自宅の一部を事務所として使っている | 事業で使う部分の光熱費を、合理的な基準で按分して経費にする余地がある |
| 事業でほとんど電気などを使わない | 按分できる割合は小さく、無理に計上すると説明が難しくなる |
ここは誤解が生じやすいところです。役員社宅にしたからといって、光熱費まで自動的に全額が会社負担になるわけではありません。光熱費は生活にも使うため、事業で使う部分を切り分けて考えるのが基本です。費目全体の線引きはマイクロ法人の経費はどこまで認められるかでも整理していますので、光熱費単体で判断する前に目を通しておくと安心です。
按分の基準をどう決めるか
自宅の一部を作業場所にしている場合、光熱費のうち事業で使った分を按分します。割合そのものより、どういう考えでその割合にしたかを説明できることが大切です。
| 基準 | 考え方 | 向いている費目 |
| 床面積 | 作業スペースが自宅全体に占める面積の割合で按分 | 電気代など全体にかかるもの |
| 使用時間 | 1日のうち事業で使う時間の割合で按分 | 作業中に使う電気など |
| 使用実態 | その光熱費を事業でどれだけ使うかの実態から見積もる | 水道・ガスなど事業利用が限定的なもの |
電気代は作業に直接関わるため面積や使用時間で按分しやすい一方、水道やガスは事業での使用が限定的なことも多く、業種によっては按分できる割合が小さくなります。飲食を扱う事業なら水道・ガスの事業利用が説明しやすいなど、費目と業種の組み合わせで変わります。「なんとなく半分」ではなく、面積や使用時間など数えられる根拠で決めておくのが安全です。
光熱費ごとに事業関連性は違う
同じ光熱費でも、電気・水道・ガスで事業との結びつきの強さは異なります。一律の割合をすべての光熱費に当てはめるのではなく、それぞれの実態に合わせて考えると、より説明しやすくなります。
- 電気:パソコンや照明など作業に直接使うため、面積・使用時間で按分しやすい
- 水道:事務作業中心の事業では業務利用が少なく、按分割合は小さくなりがち
- ガス:調理や暖房が中心で、事業利用を説明できる業種は限られる
私は電気代は作業時間から割合を出し、水道・ガスは事業でほとんど使わないため按分の対象から外しています。実態に合わない費目まで無理に按分すると、かえって全体の説明が弱くなります。
役員社宅にしている場合の扱い
自宅を会社が借り上げて役員社宅にしている場合でも、光熱費は原則として居住にかかる費用です。家賃と光熱費は別のものとして考え、光熱費まで一緒に会社負担にしてしまわないよう注意が必要です。
役員社宅にしていて、その一部を事業の作業場所としても使っているなら、光熱費のうち事業で使う部分を按分して経費にする、という整理になります。家賃の計算や社宅の設定そのものは役員社宅の家賃計算方法で扱っていますので、住まいまわり全体の考え方はそちらとあわせて確認してください。家賃と光熱費を混同しないことが、後の説明を楽にします。
個人事業の家事按分との違い
マイクロ法人と個人事業を両方持つ二刀流の場合、光熱費を「法人の経費」と「個人事業の家事按分」のどちらに付けるかを整理する必要があります。同じ光熱費を両方で重複して経費にすることはできません。
- 法人の事業で使う分:法人の経費として按分する
- 個人事業で使う分:個人事業の家事按分として計上する
- 生活で使う分:どちらの経費にもしない
二刀流では、同じ自宅の中で法人の業務と個人事業と生活が混在します。どの活動でどれだけ使ったかを整理して、重複や付けすぎがないようにすることが大切です。二刀流での費目の分け方は二刀流の経費の分け方で詳しく整理していますので、そちらも参考にしてください。
説明できる資料の残し方
光熱費の按分は、後から「なぜその割合なのか」を聞かれることがあります。次のような資料を残しておくと、説明がしやすくなります。
- 按分根拠のメモ:床面積や使用時間など、割合を決めた考え方
- 間取りや作業スペースの記録:どの部屋をどれだけ事業に使っているか
- 検針票・請求明細:実際の光熱費の金額がわかるもの
- 役員社宅の場合の契約・規程:住まいの位置づけを示すもの
私は、按分の考え方を一枚のメモにして毎年の決算資料に添えています。証拠は後から作ろうとすると手間がかかりますが、割合を決めたその場で一行残しておけば済みます。数字だけを毎年繰り返すのではなく、根拠を添えておくことが後の安心につながります。
もう一つ意識しておきたいのが、按分割合を毎年見直すことです。引っ越して間取りが変わったり、事業の作業時間が増減したりすれば、合理的な割合も変わります。前年の数字をそのまま使い続けていると、実態とずれても気づきにくくなります。決算のタイミングで「いまの使い方に照らして、この割合で説明できるか」を一度確認しておくと、実態に沿った状態を保ちやすくなります。光熱費は生活と一体になっている費目だからこそ、根拠を更新し続ける姿勢が大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 自宅の電気代は全額経費にできますか?
A. 生活にも使う以上、全額を経費にするのは難しいのが実情です。事業で使う部分を面積や使用時間などで按分するのが基本です。割合の根拠を残せる範囲で計上し、生活で使う分まで含めないよう注意してください。
Q. 按分割合は何%が適切ですか?
A. 一律の正解はありません。作業スペースの面積や事業で使う時間など、自分の使い方に沿った根拠で決めます。割合の数字より「なぜその割合にしたか」を説明できることが大切です。
Q. 役員社宅にすれば光熱費も全部経費になりますか?
A. 役員社宅は住まいの費用の話で、光熱費は原則として居住にかかる費用です。社宅にしても光熱費が自動的に全額会社負担になるわけではなく、事業で使う部分を按分する考え方は変わりません。
Q. 個人事業でも光熱費を家事按分しています。法人でも付けられますか?
A. 同じ光熱費を法人と個人事業で重複して経費にすることはできません。どの活動でどれだけ使ったかを整理し、重複しないよう分ける必要があります。分け方に迷う場合は税理士に確認してください。
Q. 契約は個人名義のままでも経費にできますか?
A. 電気やガスの契約が個人名義のままでも、事業使用分を按分して経費にする考え方は可能です。その場合、実際の支払いは個人から出ているため、事業使用分を会社が精算する記録を残しておくと、支払い経路が個人であっても説明しやすくなります。
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まとめ:光熱費は前提と按分根拠で考える
この記事の要点を整理します。
- 光熱費が経費になるかは、住まいと事業のつながり方(社宅か作業場所か)で前提が変わる
- 按分は面積・使用時間など数えられる基準で。割合より根拠を説明できることが重要
- 役員社宅でも光熱費は原則居住費用。家賃と混同せず、事業使用分を按分する
- 二刀流では法人・個人事業・生活で重複しないように分ける
- 按分根拠のメモや間取りの記録を残し、説明できる状態にしておく
光熱費は金額が小さめでも毎月かかり、生活と混ざりやすい費目です。「どこまで経費にできるか」を先に考えるより、「事業でどれだけ使い、その割合の根拠をどう残すか」から入ると判断がぶれません。最終的な可否は事業の実態と証拠が前提になりますので、割合の設定や資料の残し方で迷う場合は、早めに顧問税理士に確認しながら進めてください。
※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。
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