【2026年版】自宅の一部をマイクロ法人に貸して家賃を取れる?個人→法人の賃貸借と住宅ローンの注意点

節税・経費
【2026年版】自宅の一部をマイクロ法人に貸して家賃を取れる?個人→法人の賃貸借と住宅ローンの注意点

📢 本記事にはプロモーション(広告・アフィリエイトリンク)が含まれます。

スポンサーリンク

「持ち家の一室を法人の事務所にして、法人から家賃をもらえば節税になる?」
「個人と自分の法人で賃貸借契約なんて結べるの?」
「住宅ローンが残っていても大丈夫?」

自宅で仕事をしているマイクロ法人社長なら、一度は思いつく定番のアイデアです。ここで言うマイクロ法人とは、個人事業主が、役員が自分一人だけの法人(合同会社が主流、株式会社でも可)を別に設立し、役員報酬を低く抑えることで社会保険料の負担を最小化する「マイクロ法人スキーム」の受け皿となる会社のこと。スキームの全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説で解説しています。

先に正直な結論を言うと、この「自宅を法人に貸す」作戦、仕組みとしては合法的に成立しますが、節税効果は思ったほど大きくないことが多いです。しかも住宅ローンが絡むと、税金以前の重大な注意点があります。私自身、顧問税理士の先生に相談して「やるなら小さく、慎重に」と言われたテーマなので、その中身を共有します。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • 個人(社長)と法人の賃貸借契約の仕組みと、必要になる手続き
  • 「節税になる」は半分ホント半分ウソ——効果が出る部分と出ない部分
  • 否認されない適正家賃の決め方
  • 住宅ローンがある場合の資金使途・住宅ローン控除の重大注意点
  • 賃貸住まいの場合の選択肢と、逆方向の「社宅」との違い

仕組み:個人と法人の賃貸借契約で、法人が事務所使用料を払う

やること自体はシンプルです。持ち家の所有者である社長個人と、マイクロ法人との間で建物賃貸借契約(事務所使用)を結び、法人が毎月、個人に家賃を振り込みます。自分と自分の会社の契約なので不思議な感じがしますが、個人と法人は法律上まったくの別人格なので、契約として有効に成立します。

  • 法人側:支払った家賃を地代家賃として損金(経費)にできる
  • 個人側:受け取った家賃は不動産所得となり、確定申告が必要になる
  • 形式面:契約書の作成、使用部分の特定(間取り図で何畳・何平米か)、毎月の銀行振込での支払いをセットで

特に忘れられがちなのが個人側の申告です。「法人の経費にした」ところで満足して、個人の不動産所得の申告が抜けると、税務署から見れば単なる申告漏れ。ここは本当に多いミスだと顧問税理士の先生も言っていました。また、家賃のやり取りは必ず契約書と振込記録で残すこと。現金手渡しやどんぶり勘定は、後述の否認リスクだけでなく、個人と法人のお金の線引きが崩れる入口になります。この線引きの考え方は役員貸付金・個人と法人のお金の分け方で詳しく解説しています。

正直な話:節税効果は「微妙」なことが多い

「法人の経費が増える=節税」と考えたくなりますが、冷静に見るとこうなります。

お金の流れ 税務上の効果
法人が家賃を払う 法人の損金が増える(法人の利益・税金が減る)
個人が家賃を受け取る 個人の不動産所得が増える(個人の税金が増える)

つまり、法人から個人への単なる「付け替え」に近く、世帯全体で見るとプラスマイナスが相殺されがちなのです。法人税率と個人の所得税率の差で多少の損得は出ますが、期待するほどの節税にはなりません。

では意味がないかというと、そうでもありません。効果が出るのは、個人側の不動産所得の計算で必要経費を差し引ける部分です。具体的には、貸している部分に対応する固定資産税・建物の減価償却費・修繕費・火災保険料などを按分して経費にできます。家賃収入からこれらを引いた残りだけが課税対象になるので、「経費で吸収できる範囲の家賃設定なら、法人の損金だけが立って個人側の税負担はほぼ増えない」という着地があり得ます。逆に言えば、効果はその範囲にとどまる、というのが実態です。

適正家賃の決め方:相場×面積按分が基本

家賃をいくらにするかは自由に決められそうで、決められません。社長と自分の会社の取引は同族間取引として税務調査で厳しく見られるポイントだからです。

  • 基本の考え方:近隣の賃貸相場(同条件の物件の平米単価)× 法人が使用する面積の割合
  • 例(目安):周辺相場が月15万円相当の家で、仕事部屋が全体の15%なら、月2万円前後が説明しやすいライン
  • 使用面積の根拠:間取り図に使用部分を明示し、契約書に添付しておく

相場からかけ離れた高額家賃を設定すると、超過部分は役員給与(損金不算入)と認定されるなどの否認リスクがあります。「法人にたくさん払わせて利益を圧縮したい」という誘惑が働く場面こそ、第三者との取引ならいくらにするか(いわゆる相場感)に立ち返るのが安全です。事業で使う支出の個人・法人の切り分け全般は二刀流の経費の分け方もあわせてどうぞ。

住宅ローンがある場合の重大注意:税金より先に「契約」の問題

ここがこの記事でいちばん強調したい部分です。住宅ローンが残っている自宅を法人に貸す場合、注意点は2段階あります。

注意①:住宅ローンは「居住用」の資金使途で借りている

住宅ローンは、金利が低い代わりに資金使途が「本人や家族が住むための住宅」に限定された商品です。自宅の一部を事業用に貸す・使うことは、この前提に関わるため、本来は金融機関への確認事項です。無断で事業転用すると、程度によっては契約違反(規約違反)を問われるリスクがゼロではありません。一室を仕事に使う程度で直ちに問題になるケースは多くないとされますが、「賃貸借契約を結んで家賃を取る」となると話の性質が変わってきます。まず金融機関に相談する、が正しい順番です。

注意②:住宅ローン控除は「居住用部分」だけ

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、あくまで居住用部分に対する控除です。目安の水準感として、事業・貸付に使う部分が10%以下なら全体を居住用として扱える一方、10%を超えると居住用部分だけの按分適用になり、居住用が50%未満まで下がると適用自体が受けられないという枠組みで整理されています。仕事部屋1室なら通常は10%前後に収まることが多いものの、控除額に直結する話なので、面積割合は正確に把握しておきましょう。せっかくの家賃数万円の損金化で、年末残高の0.7%という大きな控除を削っては本末転倒です。

賃貸住まいの場合:転貸はNG、選択肢は別にある

持ち家ではなく賃貸にお住まいの場合、「自分が借りている部屋を法人に貸す(転貸)」は大家さんの承諾がない限り契約違反です。ほとんどの賃貸借契約書に無断転貸の禁止条項があり、最悪は契約解除もあり得るので、この形は素直に諦めましょう。

賃貸派の現実的な選択肢は2つです。1つは、家賃や光熱費の一部を事業使用割合で按分して経費にするオーソドックスな方法。もう1つは、法人が物件を借りて社長に貸す「社宅方式」への切り替えです。なお、自宅住所を法人の本店として登記すること自体の可否やバーチャルオフィスとの比較は賃貸マンションで法人登記はできる?で詳しく解説しています。

逆方向の「社宅」との違い:どちらが向いているか

「自宅を法人に貸す」と混同されやすいのが、方向が逆の役員社宅です。整理すると次のようになります。

項目 自宅の一部を法人に貸す 社宅(法人が借りて社長に貸す)
お金の向き 法人 → 個人(家賃を払う) 個人 → 法人(賃料相当額を払う)
向いている人 持ち家で、一部を事務所として使う人 賃貸住まいで、住居費そのものを圧縮したい人
法人側の効果 事務所部分の家賃が損金 支払家賃と本人負担の差額が実質損金
個人側の影響 不動産所得が発生し確定申告が必要 賃料相当額を負担すれば給与課税を避けられる
主な注意点 適正家賃・住宅ローン・申告漏れ 契約名義を法人にする必要・賃料相当額の計算

ざっくり言えば、持ち家の人は「貸す」方式しか選べず、賃貸の人は「社宅」方式のほうが効果が大きいことが多い、という住まい別の棲み分けです。どちらも「大きく得する魔法」ではなく、実態と書類を整えてこそ成立する制度である点は共通しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 電気代やネット回線代も法人に請求できますか?

A. 事業で使っている実態があれば、使用実態に応じた按分での負担は可能です。家賃と同様に、根拠(使用時間・専用回線かどうか等)を説明できる割合にとどめるのが安全です。家賃に光熱費相当を上乗せした「共益費込み」の契約にする方法もありますが、その分個人側の収入も増える点は同じです。細かい按分ルールの作り方は二刀流の経費の分け方を参考にしてください。

Q. 持ち家が配偶者名義の場合はどうなりますか?

A. 賃貸借契約の貸主は所有者である配偶者になり、家賃も配偶者の不動産所得になります。配偶者に他の所得がなければ、家賃収入によって配偶者控除や社会保険の扶養の判定に影響が出る可能性がある点に注意してください。共有名義なら持分に応じた整理が必要で、このあたりは事前に税理士へ相談することをおすすめします。

Q. 法人の登記住所は自宅のままでいいですか?

A. 持ち家であれば自宅を本店所在地として登記すること自体は可能で、賃貸の場合は契約や規約の確認が必要です(詳細は賃貸マンションで法人登記はできる?)。なお自宅住所が登記簿で公開されることに抵抗がある方は、バーチャルオフィスの利用も選択肢です。設立時に決める商号(会社名)の考え方は会社名(商号)の決め方にまとめています。

Q. 家賃はいくらまでなら税務署に何も言われませんか?

A. 「いくらまでならセーフ」という明確な基準はありません。判断軸はあくまで第三者に貸す場合と同水準か(近隣相場×使用面積)です。金額の多寡より、契約書・間取り図・振込記録・個人側の申告という形式がそろっているかのほうが重要で、そこが欠けていると少額でも指摘の対象になり得ます。

Q. 個人側の不動産所得の申告は、どれくらい手間ですか?

A. 貸室1件程度なら、収入(年間家賃)と必要経費(固定資産税・減価償却費等の按分)を不動産所得用の収支内訳書にまとめるだけで、確定申告ソフトで対応できる範囲です。ただし減価償却費の計算(建物の取得価額・耐用年数・按分割合)は初年度だけ少し骨が折れるので、最初の1回は税理士にチェックしてもらうと安心です。

💡 同族間取引の設計を専門家に任せるなら(PR)

「ゼロ税理士法人」なら月3,980円〜で経理・税務をまるごと丸投げできます。法人・個人事業主どちらもOK、最短で即日スタート、まずは無料オンライン相談から。自分でやる時間と比べて、コストが見合うか検討する価値があります。

▶ 月3,980円〜で税理士に丸投げする(ゼロ税理士法人)

まとめ:「貸せるか」より「割に合うか」で判断する

自宅の一部をマイクロ法人に貸す話のポイントを振り返ります。

  • 個人と法人の賃貸借契約は有効に成立し、法人は地代家賃を損金にできる。ただし個人側は不動産所得の確定申告が必須
  • 実態は法人→個人の付け替えに近く、節税効果は固定資産税・減価償却費等を必要経費にできる部分に限られる
  • 家賃は近隣相場×使用面積の按分が基本。同族間取引として見られる前提で、相場から離れた高額設定は否認リスク
  • 住宅ローンがあるなら、金融機関への確認が先。住宅ローン控除は事業利用10%超で按分、居住用50%未満で適用外の水準感
  • 賃貸住まいの転貸はNG。経費按分か社宅方式を検討し、持ち家=貸す方式/賃貸=社宅方式という棲み分けで考える

「家賃を取れるか」だけで見れば答えはイエスですが、申告の手間・住宅ローンへの影響・否認リスクまで並べると、割に合うかは人それぞれです。金額が小さいなら無理に契約を組まず経費按分で済ませる、金額が大きいなら専門家を入れて設計する——このどちらかに寄せるのが、私が顧問税理士の先生と話して出した現実的な落としどころです。

※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。

スポンサーリンク

スポンサーリンク