【2026年版】マイクロ法人の節税シミュレーションを自分でやる手順|試算の型を公開

法人設立
【2026年版】マイクロ法人の節税シミュレーションを自分でやる手順|試算の型を公開

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「マイクロ法人にしたら自分の場合いくら変わるのか、ツールに頼らず自分で計算したい」
「節税シミュレーションって、何をどの順番で計算すればいいの?」
「早見表は見たけど、自分の条件に引き直す方法がわからない」

この記事は、マイクロ法人の節税シミュレーションを自分の手で試算する手順(型)を公開するものです。まず前提を共有すると、ここで扱うマイクロ法人とは、個人事業を本業として続けながら、役員が自分ひとりの小さな法人(合同会社が多く、株式会社でも可)を別に設け、役員報酬を低く抑えて社会保険料の負担を軽くする「マイクロ法人スキーム」のための法人を指します。仕組みの全体像はマイクロ法人 社会保険料削減スキームの完全解説にまとめているので、まだの方はそちらを先に読むと本記事の計算がすっと入ってきます。

私自身、設立前にノートに手書きで試算を書き出し、その紙を持って顧問税理士の先生に確認してもらいました。自分で一度計算してみると、どこが効いていて、どこが誤差なのかが体感でわかるのが最大のメリットです。この記事でわかることは次のとおりです。

  • 節税シミュレーションで見るべき4項目(社保・所得税・住民税・法人維持費)
  • STEP1 現状(個人のみ)の負担を洗い出す方法
  • STEP2 二刀流にした場合の役員報酬・事業配分の仮置きの仕方
  • STEP3 社保・税の差額を計算し、維持費を差し引く手順
  • 試算でつまずきやすいポイントと、税理士に確認すべき項目

マイクロ法人の節税シミュレーションで見るべき4項目

試算を始める前に、比較する項目を固定しておきます。マイクロ法人化で動くのは主に次の4つです。

項目 マイクロ法人化でどう動くか
社会保険料 国保・国民年金 → 社保に置き換わり、多くのケースで下がる(最大の効き所)
所得税 法人と個人に所得が分かれ、給与所得控除などの影響が出る
住民税 所得税と同様、所得の分かれ方で変動する
法人維持費 均等割・会計費用など、法人を持つことで新たに増えるコスト

この4項目のうち、効果の中心は社会保険料で、所得税・住民税は補助的、法人維持費はマイナス要因です。まずは社保を軸に計算し、税と維持費で微調整するイメージを持つと、全体が見通しやすくなります。

STEP1 現状(個人のみ)の負担を洗い出す

最初に、いまの自分(個人事業主のまま)の年間負担を書き出します。用意するのは次の数字です。

  • 国民健康保険料(年額):自治体の国保料計算ページで、自分の所得を入れて算出します。所得に比例して増え、高所得層では賦課限度額(令和7年度の目安で年109万円)に達します。
  • 国民年金保険料(年額):所得に関係なく定額で、2026年時点の目安で年21万円前後。
  • 所得税・住民税(年額):確定申告書の控えがあれば、そこの金額を使うのが早いです。

この「現状の合計」が比較のスタート地点です。国保料は必ず自分の自治体の計算ページで出すのがポイントで、ここを概算で済ませると試算全体がぶれます。

STEP2 二刀流にした場合の役員報酬・事業配分を仮置きする

次に、マイクロ法人を作った後の状態を仮に組み立てます。マイクロ法人スキームは個人事業と法人の「二刀流」が前提で、生活費の多くは個人事業側の所得からまかない、法人の役員報酬は社会保険に加入するための最小限に抑えます。この二刀流の設計思想は個人事業主との二刀流戦略で詳しく解説しています。

仮置きする数字は次のとおりです。

  • 法人の役員報酬(月額):社保の下限付近を意識して仮置きします。厚生年金は下限88,000円で頭打ちになるので、その前後を目安にします。
  • どの事業を法人に移すか:売上の一部を法人に移して社保加入の根拠を作ります。ただし法人には実態のある事業が必要です。
  • 個人事業に残す所得:生活費をまかなう主軸として、多くをこちらに残すのが基本形です。

ここで大事なのは、「役員報酬を下げるほど社保が下がる」わけではないという点です。下限があるため、ある水準から下は同じです。仮置きは下限付近で1パターン作れば十分です。

STEP3 社保・税の差額を計算し、維持費を差し引く

いよいよ差額を出します。手順はシンプルです。

手順 計算内容
①社保の差 (現状の国保+国民年金)−(法人の社保 約27万円前後)
②税の差 所得が法人・個人に分かれることによる所得税・住民税の増減(プラスにもマイナスにもなりうる)
③維持費 均等割7万円+会計費用等(マイナス要因として差し引く)
ネット効果 ① + ② − ③

①の社保の差が最も大きく効きます。②の税は、法人維持のコストや役員報酬の給与所得控除などが絡み、一概に「税も安くなる」とは言い切れないため、まずはゼロ〜小幅として置き、社保と維持費でネット効果の大枠を掴むのが実務的です。より詳しい年収別の削減額の目安は年収別シミュレーション早見表で確認できます。二刀流の確定申告の実務は二刀流の確定申告にまとめています。

試算でつまずきやすいポイントと、税理士に確認すべき項目

自分で試算すると、次のような点でつまずきがちです。私も最初に間違えたところなので、先回りして挙げておきます。

  • 国保料を概算で済ませてしまう:国保は自治体差が大きいので、必ず自分の自治体の計算ページで出してください。
  • 会社負担分の社保を忘れる:社保は労使折半ですが、マイクロ法人では会社負担分も実質自分の負担です。合計で計算しないと過小評価になります。
  • 役員報酬を下げれば下げるほど得だと思い込む:下限があるため、一定より下げても社保は変わりません。
  • 税の増減を大きく見積もりすぎる:所得税・住民税の効果は補助的で、法人維持コストと相殺されることも多いです。
  • 見えないコストを入れ忘れる:決算・社保手続きの手間、役員報酬が低いことによる住宅ローン審査への影響なども、判断材料に加えるべきです。

そして、次の項目は自分の試算のあと、必ず顧問税理士に確認することをおすすめします。事業をどう法人・個人に分けるのが自然か、役員報酬の設定が税務上問題ないか、否認リスクがないか、といった論点は、個別事情で判断が変わるためです。自分で一度計算してから相談すると、話が早く、確認の精度も上がります。

数字を「幅」で持っておくと判断がぶれない

自分で試算するときのコツをもう一つ挙げると、結果を1つの数字ではなく「幅」で持っておくとよいです。国保料の前提や役員報酬の置き方を少し変えるだけで、ネット効果は数万円単位で動きます。そこで、「良い前提のとき」「厳しめの前提のとき」の2パターンで計算しておくと、実際の効果がその範囲に収まりやすく、期待しすぎも悲観しすぎも避けられます。私は設立前、良いケースと厳しいケースの両方を紙に並べて、厳しいケースでもプラスに収まることを確認してから踏み切りました。幅で捉えておくと、あとで前提が多少ずれても慌てずに済みます。試算はあくまで意思決定のための道具なので、精度を追い込みすぎず、方向性が固まれば十分だと割り切るのが、続けやすいやり方です。

よくある質問(FAQ)

Q. 税理士に丸投げすれば、自分で試算しなくてもいいのでは?

A. 最終的な精緻な試算は専門家に任せるのが確実ですが、自分で一度計算しておくと、どの数字が効いているかを理解でき、相談時の質問も的確になります。丸投げの前に大枠を掴んでおくのがおすすめです。

Q. 所得税や住民税も必ず安くなりますか?

A. 一概には言えません。法人と個人に所得が分かれることで有利に働く面もありますが、法人維持コストや社保の会社負担もあるため、税単体では相殺されることもあります。効果の中心は社会保険料と捉えるのが実態に近いです。

Q. 早見表があるのに、自分で試算する意味はありますか?

A. 早見表は桁感を掴むのに便利ですが、家族構成・自治体・所得の内訳で数字は動きます。自分の条件に引き直すには、手順に沿った試算が有効です。早見表は出発点、自己試算は着地点というイメージです。

Q. どこまで正確に計算すればいいですか?

A. 1円単位の精度は不要です。まずは「桁感と方向性」がわかれば十分で、作る価値があるかの判断はそれで下せます。細部は設立を決めた段階で税理士と詰めれば問題ありません。

Q. 試算の結果、効果が小さかったらどうすればいいですか?

A. ネット効果が小さいなら、無理に設立せず個人事業のまま様子を見るのも合理的です。所得が伸びたタイミングや家族構成が変わったときに再試算する、という判断もありです。数字が出ていれば、見送りも納得感のある選択になります。

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まとめ:4項目を順に洗い出せば試算はできる

この記事の要点を整理します。

  • 見るべきは社保・所得税・住民税・法人維持費の4項目、効果の中心は社会保険料
  • STEP1で現状の負担を洗い出す(国保は必ず自治体の計算ページで出す)
  • STEP2で役員報酬を下限付近に仮置きし、二刀流の事業配分を組み立てる
  • STEP3で社保・税の差額から維持費を引いてネット効果を出す
  • 会社負担分の社保・見えないコストの入れ忘れに注意し、最後は税理士に確認する

節税シミュレーションは、手順さえ押さえれば自分でも十分にできます。大切なのは、社保を軸に大枠を掴み、細部は専門家に確認するという役割分担です。まずは一度、自分の数字で計算してみてください。手を動かすと、判断に必要な「体感」が手に入ります。

※本記事は2026年7月時点の法令・運用を前提とした、筆者個人の理解と顧問税理士から聞いた内容に基づくものです。実際の判断は、顧問税理士・各機関にご確認のうえご自身の責任でお進めください。

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